《ブラジル最高裁》同性愛者への差別は違憲と判断=議会での審議の遅れも批判

最高裁大法廷での審理の様子(Nelson Jr./SCO/STF)

最高裁大法廷での審理の様子(Nelson Jr./SCO/STF)

 【既報関連】ブラジルの最高裁が13日、同性愛者らへの差別を人種差別と同様の犯罪行為とみなす事を決めたと13、14日付現地紙、サイトが報じた。
 同性愛者、両性愛者、性転換者、女装男性(LGBT)らに対する差別は、言葉や態度による侮蔑、暴行などの形で表面化する。近年は同性愛者らを殺害する事件も増えるなど、社会問題としての深刻さも増していた。
 13日の審理では5月23日に始まった投票が継続され、最終的に8対3で、同性愛者らに対する差別行為は憲法の下に定められた平等の精神などに反し、人種差別に準ずる犯罪行為とみなす事が決まった。同性愛者らへの差別行為で断罪された場合は、1~5年の刑が科される事になる。
 最高裁判事の大半は、少数派市民にも基本的な人権を認めるべきという点と共に、同性愛者への差別行為を人種差別同様の犯罪行為と定めるには議会での法制定が必要との認識で一致した。
 つまり、最高裁の決定は法的に差別行為を犯罪と定めるものではなく、あくまでも憲法を遵守するための判断で、議会が速やかに、同件に関する法令を作成、審議する事も求めた。
 同件に関する審理は2月に始まった。5月23日の投票は、上院憲政委員会が同件に関する法案審議を進めている事を認めつつ、議会の動きが社会の要求や実態について行っておらず、同性愛者らの権利を守る必要があると判断し、審理継続を決めた上で始まった。
 同件に関しては、宗教上の理由で聖職者や信者が同性愛などについて否定的な発言を行った場合は処罰の対象とはしない事も確認されている。