《サンパウロ州》老女軟禁容疑で夫婦逮捕=20年間も奴隷労働強いる

詐欺、虐待などで逮捕された容疑者達(25日付G1サイトの記事の一部)

詐欺、虐待などで逮捕された容疑者達(25日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州内陸部のヴィニェード市で25日未明、約20年間も女性を軟禁状態に置き、奴隷労働をさせていた夫婦が逮捕された。
 警察が容疑者らを逮捕したのは、容疑者らが残高もない口座の小切手を使い、地元商店に損害を与えていたとの通報を受けたためだ。警察によると、小切手を振り出すために使っていた銀行口座は被害者女性(63)の名義で開いたもので、給与を振り込むためと口実をつけて開いた口座を悪用していたという。
 また、被害者の女性が奴隷労働を強いられていた事は、通報を受けて逮捕に向かった警官を見かけた女性が助けを求めた事で判明した。
 助けてくれと懇願する女性を見た警察は、様子がおかしいと判断して、女性が寝泊りさせられていた部屋なども捜索。不審に思って夫婦を連行して事情聴取を行ったところ、家政婦として応募してきた被害者を、給料も払わず、約20年間酷使し、体罰なども加えていた事がわかったという。
 被害者はパラナ州の出身で、容疑者夫妻の家で働くためにサンパウロ州に出てきたという。最初はカンピーナス市にいたが、その後にヴィニェード市に移ったが、給与を受け取った事は一度もなかったという。警察がその場で調べたところ、被害者の家族はパラナ州コロラド市に住んでおり、1996年に被害者の捜索願を出していた事も判明した。
 被害者がいた部屋は道路には接しておらず、外界との接触もないまま、現在は88歳になった容疑者(妻の方)の母親の世話をさせられていたという。被害者と彼女が世話をしていた女性は、容疑者達とは別の家に住んでいたが、容疑者達は毎日、様子を見に来ていたという。
 容疑者2人は、詐欺、虐待、軟禁の容疑で告発される見込みで、25日に裁判官からの尋問を受けた。妻の方は1970年代に暴行容疑で捕まった事があるが、夫の方は前科はなかった。
 被害者は20年近く完全に世の中から隔離された状態に置かれており、ヴェニェードがどこにあるのか、自分がいた地区はなんというのかさえ知らなかったという。彼女は市内の収容施設に移されたが、彼女が世話をしていた容疑者の母親は、衰弱がひどく、市内のサンタカーザ病院に移送されたという。(25日付G1サイトより)