《ブラジル》合計特殊出生率が低下=世界人口デーで国連が発表

 世界人口デーの11日、国連人口基金がブラジルでは、黒人女性や貧困女性の合計特殊出生率が大きく低下していると発表した。
 合計特殊出生率とは、人口統計上の指標で、1人の女性が15歳から49歳までの間に生む子供の数の平均を示す。
 人口基金の発表によると、ブラジルの場合、生活が不安定な黒人女性や貧困女性の合計特殊出生率ほど低下が目立ち、2001年の3・92人が2015年は2・90人に低下したという。これは、貧困層の女性が出産可能な年齢で産む子供の数がほぼ1人減った事を意味する。この数字は、ブラジル地理統計院(IBGE)の資料を基に算出された。
 人種や肌の色別に算出した合計特殊出生率は、白人が2・75人から1・88人、褐色(混血者)が2・65人から1・96人に低下したと報告されているから、各々のグループの女性が産む子供の数は、0・87人と0・69人減少した事になる。
 ブラジルの人口基金担当者ジャイメ・ナダル氏によると、黒人女性や貧困女性は、公的な医療機関を利用する例が多く、保健所などの医師から家庭計画に関するオリエンテーションを受け、避妊手術を受ける、避妊具を使うなどの方法にアクセスし易い環境にいると見ている。
 同氏によると、ブラジルでは、統一医療保健システム(SUS)が避妊具や避妊に関する情報の最も大きな提供源となっており、貧困層にも家庭計画の概念が浸透してきたという。
 同基金によると、ブラジルでは避妊具を使う既婚女性が77%もおり、既婚女性の35%のみが避妊具を使っていた1969年のデータとは雲泥の差が生じているという。(11日付アジェンシア・ブラジルより)