今も続く行方不明者の家族の心痛

 ミナス州ブルマジーニョでの鉱滓ダム決壊事故から6カ月。248人の死亡が確認されたが、22人は今も行方不明。現場では今も遺体捜索活動が続いている▼当事者や周囲の人がトラウマに陥る事は、どんな小さな出来事でも起こり得る。寝ている間に母親が買い物に出てしまい、目覚めた子供が這い回って母親を探す内に玄関の土間に落ちて泣いていたという話がある。そんな、一見些細な出来事も、その後の子供の生活に大きな影を落としたという▼まして、襲って来る鉱滓の波に飲み込まれそうになって必死に逃げたといった記憶や、家族や知人を失う、或いは遺体や遺品さえ見つからないという経験が、心に傷を残さないはずがない。ブルマジーニョの住民が利用する医療機関では、抗不安剤処方量が80%、抗うつ剤処方量が60%増えたというのもその証拠だ▼ブルマジーニョでは、様々な症状で苦しむ住民に対応するため、医療関係者を80人以上増やし、医薬品類の購入量も増やした。これにより、同市保健局の経費は月150万レアルの出超となっているが、薬や理学療法では消えず、癒せない痛みがある。事故の3日前に息子の1人が恋人とその母親と共に殺された上、鉱山で働いていたもう1人の息子は行方不明という母親は日々、悲哀、虚無感、辛い出来事を思い出させる町から遠のきたいという思いに駆られている。働き手を失い、一人で育児と家計を支える役を担わざるを得なくなった女性を支援する団体もあるが、「毎日が1月25日」「遺体発見時には喜ぶべきか、悲しむべきか」という不明者の家族の言葉には、言葉に出来ぬ深い悲しみや痛みがこもっている。(み)