《ブラジル》北部アマパー州で先住民の族長殺害される=不法侵入の金採掘人の仕業?=28日には連警も現地入り

ワイアンピ族保護区に住む先住民たち(国立歴史遺産院)

 ブラジル北部アマパー州西部のワイアンピ族保護区の先住民が、族長のエミラ・ワジャンピ氏が保護区内に不法侵入した金採掘人たちに殺害されたとして、27日に同州検察に捜査届けを出した。27~29日付現地各紙・サイトが報じている。

 ワイアンピ(ワジャンピなどとも呼ばれる)族の保護区は60万707ヘクタールの広さで、その中には49居住地がある。2009年の時点の推定人口は980人だ。
 エミラ・ワジャンピ氏は22日に娘の家を訪ねた後に消息を絶っており、23日に川で遺体が見つかった。死体には刃物で刺された跡があった。ワジャンピ保護区審議会(Apina)によると、族長の死を直接見た人物はおらず、死が確認されたのは23日としている。
 国立インジオ保護財団(Funai)も詳細の発表は控えている。Funaiは27日に、同保護区は立ち入りが困難な場所にあり、連警と軍警に派遣を要請したと発表。連警と同州軍警の特殊部隊は29日に現場に到着した。
 ワイアンピ族の保護区はアマパー州内の3市にまたがっている。その内の一つであるペドラ・ブランカ・ド・アマパリ市の市会議員で、自らも先住民のジャワルワ・ワジャンピ氏(持続ネット・Rede)によれば、22日に金採掘人たち15人(50人との報道もある)が先住民保護区に不法侵入し、先住民のリーダー格の1人を殺害したという。
 アマパー州選出のランドルフ・ロドリゲス上議(Rede)も、現場の混乱や殺戮を避けるため、連邦警察を派遣し、軍の派遣も要請したと語る動画をツイッターに投稿した。
 ジャワルワ・ワジャンピ市議がロドリゲス上議に送った報告書には、武装した金採掘人たちは、先住民族保護区のマリリ地区から不法に侵入、インジオたちは近隣の居住地に逃げ、治安部隊の到着を待っていると記されている。地元紙によると、金採掘人たちはアラミラン地区で寝泊りしているという。
 同じ部族出身で保健省の先住民保健特別局長のシウヴィア・ワイアンピ氏も、紛争が起こったと思われる地域への治安部隊派遣要請を出したとツイッターに投稿した。
 アマパー州検察局長のロドウフォ・ソアレス・リベイロ・ロペス氏は、「我々は様々な可能性を想定して捜査に当たっている。族長を殺したのは、金採掘人ではなく、現地で狩猟を行っていた人物かもしれない。他の部族が殺した可能性さえある。『先住民保護区に金採掘人たちが不法侵入して族長を殺害した』と決め付けるのは早計」と語った。
 Funaiも事件関連の文書に、「不法侵入の疑い」や「金採掘人たちによる先住民への攻撃が想定される」という表現を使っており、先住民の言い分をそのまま事実として確認することを避けている。
 ボウソナロ大統領が先住民保護区や環境保護区での開発行為を支持する発言をして以来、法定アマゾン内での違法な金採掘は拡大の一途を辿っている。