《ブラジル》89%が地球温暖化認識=現政権の政策への影響は?=Inpe絡みのやり取り継続

ブラジル科学促進協会の年会でInpeなどについても語ったポンテス科技相(26日付フォーリャ紙電子版の記事の一部)

 ボウソナロ大統領やトランプ米大統領は地球温暖化を否定するが、ブラジル国民の89%は地球温暖化を認識している事や、ボウソナロ大統領が科学的なデータの扱いや公表のあり方を批判したのに対し、科学者達が反論している事を27~28日付現地紙が報じた。
 地球温暖化のリスクが一般に認識され始めたのは1980年代末だ。温暖化に対する懐疑論や緩和策の費用対効果を疑問視する意見なども出たため、温暖化は「疑う余地がない」とのコンセンサスを得、温室効果ガス削減義務を伴う対策の必要性が広く認識されるまでは約20年かかった。
 7月初旬に実施されたダッタフォーリャ調査によると、地球温暖化の事をよく知っているは28%、それなりに知っているは43%、少しは知っているは17%だった。ただ、よく知っているやそれなりに知っているの割合は2010年の調査より下がった。
 世界気象機関と国連環境計画による、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)設立は1988年。4年後にリオで開かれた環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)で気候変動枠組条約が採択された後は、地球温暖化は人為的なもので、早急な対策が必要な事が国際的かつ科学的なコンセンサスとなり、世界規模での対策が議題に上り始めた。
 以後、1997年採択(2005年発効)の京都議定書や2015年採択のパリ協定など、国際的な取り組みは進んでいるかに見えたが、国際社会の足並みは揃っているとはいい難い。足並みが乱れた発端は米国やカナダの京都議定書離脱や米国のパリ協定脱退などで、ボウソナロ大統領もパリ協定離脱を表明したが、欧州連合(EU)との自由貿易協定締結のために離脱を見送った。
 だが、ボウソナロ大統領が温暖化防止より経済発展を重視する姿勢は変わらず、ブラジルの温室効果ガス排出量削減の切り札である法定アマゾンの森林伐採に関するデータが発表された後、国立宇宙研究所(Inpe)のデータの信憑性への疑問を呈した。科学者達は一斉に反論したが、大統領は27日もInpeを攻撃。同研究所のデータに関する驚きの発表があるとも発言した。
 この発言との関連性は不明だが、マルコス・ポンテス科学技術相は26日、Inpeのデータの信憑性を認めつつ、「森林伐採に関する年次報告を行う地理統計院の作業を妨げない意味で、伐採データを伏せるべき」との考えを表明した。
 Inpeへの研究奨励金は2013年以降、削減続きだが、それにも関わらず、年372~475件の研究成果が発表されており、国際的な科学雑誌への研究掲載は国内諸機関より大幅に上回っている。また、Inpeのデータは国際的な研究の資料ともされており、データや研究内容への信頼度も群を抜いている。