《ブラジル》トルコ政府から出されていた、帰化ブラジル人へのトルコ強制送還要請を拒否=エルドガン政権による嫌がらせか?

 トルコでのクーデーター計画に関わっていた容疑で、ブラジル帰化トルコ人のアリ・シパヒ氏(31)に対してトルコ政府から出されていたトルコへの強制送還措置が6日、ブラジル最高裁によって拒否された。
 19歳でブラジルに渡り、文学士の学位を取得。その後、ブラジル/トルコ商工会議所で働き、今はサンパウロ市内でトルコ料理のレストランチェーンを経営している。シパヒ氏は4月6日に旅行先の米国からブラジルに戻ったところで、逮捕され、34日間拘束された。
 「シパヒ氏はテロに関わりがある」と主張していたのはブラジル当局ではなくトルコ当局で、同氏をブラジルから追放し、身柄を渡すように求めていたのもトルコ当局だった。その要請をブラジル司法が拒否した形だ。
 シパヒ氏は「拘束されてから今日まで、つらい4カ月間だった。『本当にトルコに送り返されたらどうしよう。弁護士は見つかるだろうか?』と悩んでいた。ブラジル側の判断が遅れると聞いたときは目の前が真っ暗になったけど、最終的には思い通りになってよかった」と語る。
 しかしながら、シパヒ氏の悩みは完全に解消されてはいない。同じトルコ人の妻と共に、2020年に家族に会いに一時帰国する計画を立てていたが、逮捕の恐れがあるので帰国は叶わない上、トルコに残した家族に対し、トルコ政府が逮捕もしくは出国禁止といった報復措置を取るかもしれないとの不安を明かしている。(8日付エスタード、フォーリャ紙より)