《ブラジル》アマゾン森林火災の消火活動本格的にはじまる=軍派遣で散水用大型機出動=伐採促進を否定しない大統領=抗議運動も活発に行われる

23日のボルソナロ大統領の放送(Carolina Antunes/PR)

 国内外の批判が圧力となり、ボルソナロ大統領は23日夜、拡大するアマゾンでの森林火災に関するテレビ放送を行い、「違法伐採には断固反対」との姿勢を示し、軍による消火活動もはじめた。だが、大統領は、フランスをはじめとする諸外国によるブラジル政府への批判に不快感を示し、森林伐採促進を肯定するかの発言も行い、反発も招いている。24~26日付現地紙が報じている。

 ボルソナロ大統領は4分30秒に及ぶ放送の中で、「違法伐採に関してはトレランシア・ゼロ(寛容ゼロ。断固として許さないの意)を貫きたい」とし、消火活動にあたる意向を示した。
 大統領は、2018年のリオ州直接統治の際にも採用された例外的オペレーション(GLO)を自然災害でも認めた。適用期間は8月24日~9月24日だ。
 これにより、23日中に、アクレ、パラー、ロンドニア、ロライマの4州が軍の派遣を要請。既に支援を要請していたトカンチンスの他、24日に要請を出したマット・グロッソ、アマゾナスも軍派遣が承認された。
 ロンドニア州の州都ポルト・ヴェーリョにはすでに、散水用の大型飛行機「C―130ヘルクレス」が2機送られ、消火活動をはじめている。
 また、先住民保護区や国立公園の周辺に配置した陸軍を違法伐採や森林火災の取り締まりに回す他、国立再生可能天然資源・環境院や生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所、国立先住民保護財団の職員、連邦警察官にもアマゾン全域の違法伐採の取り締まりを行わせるという。
 また、イスラエルが消火活動への軍派遣を申し出ており、消火のための飛行機を送ることが了承されている。
 このようにボルソナロ大統領は、国際社会に対して火災消火を行うことを強くアピールはした。だが、大統領は火災増加の原因でもある森林伐採増加については何も語っていない。大統領はその原因をあくまで「旱魃」や開発の進展とし、火災の範囲は異常なものではないとした。
 また、フランスのマクロン大統領をはじめとする諸外国からの批判に関しては、名前こそ伏せたものの、「国内外で不当なデータやメッセージが飛び交っているが、そんなものは問題解決にはならない」「森林火災はどこの国でも起きている。心外な制裁など受けるいわれはない」と語った。
 さらに「気候変動に関する協定のため、多くの途上国が発展できない。自分たちの(アマゾンに対する)主権を尊重してほしい」と訴え、自身の進める、産業発展を大義名分とした森林伐採の拡大を肯定するかのような発言も行った。
 この放送の最中には、サンパウロ市やリオをはじめとする国内各地で、鍋を叩いて大統領に抗議する「パネラッソ」が行われた。
 さらに、国内ではサンパウロ市やブラジリアやバイア州など、国外でもパリ、ロンドン、ベルリン、アムステルダムなどで抗議集会も行われた。