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ポルト・アレグレ日本祭り=(下)=非日系も熱心に日本文化発信

来場したペロッタス市川辺日本語学校の一行(中央がペイルさん)

 17、18両日、南大河州都ポルト・アレグレ市の軍警察学校で開催された「第8回日本祭り」(樋渡ミルトン実行委員長)。校舎の各教室では、生け花や折り紙、書道、着物の着付け体験などの展示やワークショップが行われ、非日系人の活躍が目立っていた。
 イゴル・デ・カストロさん(28)が開いたのは、包丁と研磨技術に関する展示。自身も包丁を研ぐ様子を来場者に見せ、刃の美しさや研磨技術について紹介していた。
 カストロさんは心臓外科医で、日本の病院で研修した時に、日本の刀や包丁の研磨技術に関心を持ったそう。「高度な研磨技術はブラジルでは見かけないし、仕事でもメス(医療用ナイフ)を使うから気になったのかも」とほほ笑み、「刃物はきちんと研がないと本当の美しさ、切れ味が発揮されないんだ」と研いだ刃をじっと見つめた。

日本の刃物の研磨技術について説明するカストロさん

 ステージでは、田尾政良さん(24、三世)と妹の春香さん(21)が、大学の友人と4人で音楽ユニット「カルテット・タオ」として演奏。『ふるさと』『大きな古時計』などを中平マリコさんと共演して優しい音色で観客を癒やした。

パフォーマンスで観客を驚かせたアキさん

 日本からは国際交流基金の助成で、バルーンパフォーマー・アキさん(39、兵庫県在住)が来伯出演。和装に身を包み、音楽に合わせて風船で巨大な龍などを作るバルーンアートを披露した。目の前で作られる作品は、完成まで何ができるのか分からないよう工夫されており、完成の瞬間には客席から驚きと称賛の大喝采が起こった。
 アキさんは国内外の数々の大会で優勝し、アジア、欧州からも出演依頼を受ける大人気パフォーマー。「こんなに盛り上がると思わなかった。ブラジルの方々にもバルーンアートを見てもらえて嬉しい」と笑顔を見せた。
 風船を取り出す所作、完成を予想させない演出など、作品だけでなく「見せる」ことにもこだわっている。常識にとらわれない発想で「風船の世界を広げたい」と思いを語った。

息の合ったダンスを披露した健康体操の発表

 ブラジル健康体操協会も息の合った軽やかなダンスで会場を盛り上げた。鈴木富久子さん(70、北海道)は「当地にも健康体操の教室を開いてほしいとの声があった。来たかいがあった」と充実した様子。

観客を魅了したグループ「新星」(中央が田代さん、右が田辺さん)

 グループ「新星」からは、田代ふみこさん(86、鹿児島県)と4人の孫娘で日本舞踊を披露。華やかな着物をまとい、優美にゆったりと舞う姿に、観客は思わず見とれた。ステージを降りると多くの来場者に写真撮影を求められていた。
 田辺瞳さん(30、三世)は「幼い頃から祖母に踊りを教わり、自分に日本文化が染みついている。その素晴らしさを周りにも伝えたい」と日本語で話した。
 会場には約200キロ離れたペロッタス市の川辺日本語学校から、教師のレナータ・ペイルさんが生徒15人程を連れて来場。「この日本祭りが日本文化を体験できる貴重な機会。生徒が日本文化に触れられて良かった」と感想を述べた。
 南日伯援護協会の谷口浩会長は「今回も無事開催でき、多くの方が来てくれた。今後も日本文化を絶やさぬよう日系社会が協力して祭りを盛り上げていきたい」と力強く語った。(終わり、岡本大和記者)


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 ポルト・アレグレ市の日本祭りに来ていたレナータ・ペイルさん。非日系だが、日本への留学経験があり、現在は南大河州ペロッタス市の川辺日本語学校で日本語教師を勤めている。学校では約40人の生徒を一人で教えており、「文協はあるが、手伝ってくれる人がいない」と現地の人手不足を嘆いた。非日系教師が非日系生徒に教えている訳だ。ブラジルの日本語教育界にどんどん非日系が増えていく現状を反映しており、ある意味、将来を先取りした姿を見た感じかも。日本語普及に奮闘する非日系教師とその学校に、何か支援はできないだろうか。

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