《ブラジル》ボルソナロがG7の援助金を拒否=「アマゾンの主権」で反発=仏大統領に謝罪求めるも=背後でブラジル政府の挑発行為

26日のG7会議(Number 10)

 ボルソナロ政権は26日、主要7カ国首脳会議(G7)からの2千万ドルにも及ぶアマゾン森林火災対策支援金の受取を断ると表明したが、27日朝、「マクロン大統領が謝るなら受け取っても良い」と態度を軟化させた。その伏線には、自身とマクロン氏との間で起きた言い争いがあった。27日付ブラジル国内紙が報じている。

 マクロン大統領は26日、G7議長国として、アマゾンの森林火災対策として2千万ドルの資金援助を行いたいと発表した。G7はこのほかに、「伐採や火災で失われた地域への再植林プラン」の導入も考えており、来月下旬に行われる国連総会の席で、そのためのプランを発表する意向だ。
 アマゾンの森林火災対策費の支援発表は当初、ブラジルの政治関係者を喜ばせ、ロドリゴ・マイア下院議長やリカルド・サレス環境相も、「ありがたい」との反応を示していた。それは、ボルソナロ大統領が森林火災対策を発表した際、「森林火災を消火するための費用がない」と発言していたためだ。
 だが、このG7の席でマクロン大統領が言った「もし、アマゾン諸国のリーダーが地球環境を脅かすような行為を行ったら、アマゾンは国際的な財産であることを明記する可能性がある」と発言したことが、ボルソナロ大統領や一部閣僚の気分を損ねた。かねてから「アマゾンはブラジルのもの」と強く主張するボルソナロ氏は、G7の行動を「宗主国が植民地を扱うかのようだ」とかねてから批判もしていた。
 そうしたこともあり、26日夜、連邦政府は公式にG7からの支援金の受取を拒否する声明を出した。
 だが、この拒否声明は夜遅く行われたにもかかわらず、驚きをもって迎えられ、強い反発を招いた。
 すると27日朝、ボルソナロ大統領が「マクロン大統領がこれまでの侮辱を改めれば(謝罪すれば)受け取ってもよい」と、姿勢を軟化させた。
 もっとも、今回のやりとりの裏では、ブラジル政府側のマクロン大統領への挑発的な行為も問題視されていた。
 24日にはアブラアン・ワイントラウビ教育相が、「マクロン氏はフランスの農業ロビイストを代表する日和見主義者に過ぎない」「ブラジルが盗人(ルーラ元大統領)を選んだように、フランスもマクロン氏を選んだのだ」と発言した。
 また、25日にはボルソナロ大統領自身が、ツイッターのフォロワーからの「(年上で60代の夫人を持つ)マクロン氏は(30代の)ミシェル夫人を持つボルソナロ氏がうらやましいのだ」とするツイートに、「おい失礼だぞ。ははは」と反応し、マクロン氏を怒らせていた。
 なお、ボルソナロ大統領が27日に開いた、法定アマゾン内の知事たちとの会談では、9州の知事全員が、G7を含む、諸外国が提供する、アマゾンの森林火災対策や森林保護への支援を受け取るよう要請している。