沖縄県人会が琉大と連携協力=学生や研究者の交流拠点に=「非日系人にも留学研修枠を」

出席者全員の集合写真

 ブラジル沖縄県人会(上原ミウトン定雄会長)は今年2月、琉球大学と連携協力の覚書を締結した。その確認と挨拶を兼ねて、同大学のカストロ・ホワン・ホセ教授、国際連携推進課の金城かおりさん、村山依利紗(えりさ)さんが8月19日に、サンパウロ市の同県人会本部会館を訪問した。
 琉球大学からは昨年8月、ブラジル沖縄県人移民110周年記念祝典で当時の大城肇(はじめ)学長をはじめとした慶祝団が訪伯し、その際に県人会との交流推進のために覚書の締結を申し出た。その後、当時の島袋栄喜会長との間で話し合いが進み、今年2月に提携協力に関する覚書が締結された。

話し合いの様子

 連携協力の中には、同大学の学生や教授・研究者の交流を目的としたサテライトオフィス(遠隔地に作る連絡拠点)を県人会に設置することも含まれている。そこを通じ、緊密に連絡を取り合い、さらに情報共有を広める方針だ。
 同大学は今年4月5日にサンパウロ大学(USP)と大学間交流協定を結んでおり、1年間に5人の交換留学制度が始まる。また、ブラジリア大学とも交流協定を結ぶ予定。金城さんは「USPの学生の中でも、県系子弟の留学生を想定している。沖縄県人会にも宣伝に協力してほしい」と要望した。
 同県人会の評議員で同大学の卒業生でもある宮城あきらさんは、「沖縄文化は県系子弟のみならず、非日系人にも広がり県人会にも参加している。学問で交流できるのはありがたいこと」と感謝を述べ、「文化継承に留学制度は重要。県人会から推薦する非日系人も行けるようになれば」との希望も語った。
 島袋前会長も「沖縄空手や古武道、エイサーなどの沖縄文化に関心がある非日系人は多いが、その存在は母県に認知されていない。うちなーんちゅも“世界人”を作っていかなければ」と語った。
 同大学は、海外県系人がいる国の大学と連携協力を取ることを目的としており、昨年にはアルゼンチンの国立ラプラタ大学、今年はボリビアのサンタクルス・デ・ラ・シエラ私立大学とも交流協定を結んだ。さらにペルーでも大学間交流協定を結ぶべく、今回の渡航予定に含まれていた。

上原ミウトン定雄会長に記念品を渡すカストロ・ホワン・ホセ教授

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 琉球大学との話し合いで、沖縄県人会側からは「非日系人も沖縄県へ派遣できないか」との強い要望があった。近年沖縄空手、琉球古典音楽等で県系子弟以上に熱心に取組む非日系人が出ている。同大学国際連携推進課の金城かおりさんは、「確かに昨年のおきなわ祭りでは沖縄系ではない顔の人も多かった」と頷く。琉大のカストロ・ホワン・ホセ教授も日本語ペラペラの非日系アルゼンチン人であり、「前回のうちなーんちゅ大会にアルゼンチンから参加した人の3分の1が非日系人だった」と強調。今こそゆいまーる(助け合う)精神を南米らしく大陸へと広げる時代?