《ブラジル》ブルマジーニョで上半期の自殺未遂が3割増加=薬の処方量も急激に増える

死者、不明者合わせて270人という惨事の現場で捜索活動中の消防士達(1月28日、Ricardo Stuckert)

 1月25日に起きた鉱滓ダム決壊事故後、ミナス州ブルマジーニョでは自殺や自殺未遂、精神障害のための薬の処方量などが増えていると9日付現地紙が報じた。
 同市保健局によると、今年上半期の自殺未遂者は39人で、昨年同期比で3割増えた。未遂者の内訳は男性11人、女性28人で、女性が圧倒的に多い。また、自殺者も1人が3人に増えた。
 自殺者や未遂者の大半は夫や子供を失った女性で、生きがいや生きていくための支えを失った影響の大きさを物語るが、これは事故による精神障害の一端でしかない。
 市保健局によると、事故から7カ月が経った8月も、抗うつ剤の処方量は昨年同月比60%、精神安定剤(トランキライザー)は80%増えている。不安感や緊張感、意欲低下などを訴える患者用のリスペリドンの処方量も143%増えた。
 いとこと友人を失った上、鉱滓の直撃は免れた自宅も、消防ヘリの絶え間ない出動で壁がひび割れ、Valeが借りた家に転居したエリザンジェラ・ゴンサウヴェス・マイア氏(39)も、うつ病と診察された。同氏は「ここは自分の居るべき場所ではない」と常に感じており、高血圧も起こしているが、血圧の薬は飲んでいない。
 自分自身は薬の服用を止めたが、夫や息子、娘までが精神安定剤を必要としているというのは、被害者団体の委員の1人でもあるソライア・カンポス氏(42)だ。
 近親者喪失、退職、転居などはうつ病発症の典型的な原因だ。また、うつ病は自殺に繋がる精神障害の代表例でもある。
 ミナス連邦大学医学部のフレデリコ・ガルシア教授によると、ブルマジーニョの住民の状況は、生命や将来が脅かされる状態下にある戦争や内戦状態の国の現状とそっくりだという。戦争下では自殺や精神障害、薬や酒類の使用量が増えるからだ。
 ブルマジーニョでは上半期、医療機関での対応数が昨年同期比63%増の5万4千件に増えた。救急外来の12時間の対応数の最大値も、165から280に急増した。
 市役所は保健医療関係費が昨年比1500万レアル増の7千レアルになると見込んでいる。差額分は、Valeと労働検察局が結んだ、2年間で3100万レアルを支払うという合意の中から賄われる事になっている。