第71回全伯短歌大会=令和最初の1位は早川量通さん=〈天と地を区切る稜線の果てしなく大豆実れるブラジルの大地〉

真剣な表情で作歌する参加者

 第71回全伯短歌大会(椰子樹社、ニッケイ新聞共催)が15日、サンパウロ市のブラジル熟年クラブ連合会サロンで開催され、30人が集った。事前に応募があった190首の中から、総合得点歌1位は二首で計43票を獲得した早川量通さんとなった。また、当日出された席題など、久しぶりに顔を合わせるメンバーと和やかに歌作りを楽しんだ。

 椰子樹社代表の多田邦治さんが司会を務め、今回は「ここだけの話ですが…」という内容を入れた自己紹介を、参加者全員が行った。その後はニッケイ新聞より当日出された席題『令和』、人が作った歌の一部を使って詠む独楽吟、上の句を女性が、下の句を男性が詠むアベック歌合わせの作歌の時間が設けられた。
 昼食を挟んで、自選歌批評を寺田雪恵さん、早川量通さん、瀬尾正弘さん、伊藤喜代子さんが発表し、高得点歌の批評を金谷治美さん、阿部玲子さん、住谷久さんが行った。さらに小池みさ子さん、小野寺郁子さん、梅崎嘉明さんによる選者批評、多田さんによる当日出席している人の作品批評が行われ、歌の背景や技巧の上手さ等について語られると、皆が真剣に聞き入っていた。
 最後に席題、独楽吟、アベック歌合せの成績発表と表彰が行われた。
 最高得点歌は早川量通さんの<天と地を区切る稜線の果てしなく大豆実れるブラジルの大地>(29票)。2位は富岡絹子さん〈目も耳も脚も弱りて老いたれど歌詠む力残りたる幸〉(24票)。3位は吉田五登恵さん〈老いてこそ知ること多し人生は急がぬ旅路と言いきかせおる〉(22票)。4位は湯山洋さん〈千年も昔の短歌に感動し異国に老いた農夫筆持つ〉、同じく金谷はるみさんの〈早朝のジョギング終えし夫の手に秋空色のつゆ草のあり〉(19票)となった(詳細は5面参照)。
 総合得点1位の早川さんは、「椰子樹に投稿するようになって、ちょうど今年が10年の節目。サンパウロ短歌会にも参加させてもらい、先輩方に指導していただいたおかげ。短歌へ良いご縁をいただいた上、このように受賞も出来て感謝しかない」と喜びを語った。
 また、大会最後には梅崎さんが、「椰子樹は80年の歴史がある。年に一度の大会だけでなく、普段から椰子樹への投稿に積極的に参加して、歴史を残して欲しい」と呼びかけるなど、新たな歌人輩出へ向け、再出発の71回大会となった。

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 全伯短歌大会には、JICAシニアボランティアの岡田みどりさんが特別に出席して『元気で若々しく見えるための秘訣』の講演を行った。「ここだけの話…」の自己紹介コーナーで実年齢を聞いたが、とてもそんな歳には見えない。若々しく見える秘訣は「筋肉をつけること」と「良い姿勢を心がけること」だそう。岡田さんの外見に、講演内容も納得。