入居者募集中、仲間と快適に=援協のサントス厚生ホーム=日本語で安心、快適に生活

音楽体操を楽しむ入居者ら

 海の見える住まいで仲間と快適な老後を――ブラジルでも高齢化が進み、福祉施設が不足しがちな昨今だが、日本語が使えて高水準のサービスを誇る、援協の福祉施設で老後生活を送る選択肢もある。日伯福祉援護協会(与儀昭雄会長)が、高齢者養護施設「サントス厚生ホーム」(土井セルジオ運営委員長、北田スエリ施設長)の入居者7人を募集中だと聞き、取材に訪れた。

 サントス厚生ホームは、自分で身の回りの世話ができる人向けの長期滞在型高齢者養護施設で、医師や介護スタッフら医療・福祉の専門家によるサポートを受けながら、日本語で安心して生活できる。
 施設はサンパウロ州サントス市北部に位置し、日本移民ゆかりのサントス港や海岸にほど近い。一年を通して温暖な気候で、神経痛持ちには過ごしやすい気候だという。市街地にも近いため、スーパーやフェイラ、銀行、郵便局なども便利。入居者は毎日買い物や海への散歩などの外出を楽しんでいるそう。
 現在の入居者は53人。看護師や介護スタッフら職員38人が交代で勤務しており、日ポ両語での対応が可能。加えて2人の医師が週2日、理学療法士も週4日、訪問診療を行うなど、充実した医療・福祉サービスを備えている。
 和食もブラジル食も提供され、週に2日は管理栄養士が栄養バランスを考えた献立を用意。洗濯や各部屋の掃除も毎日行われる。
 施設は5階建てでエレベータ完備。1991年に改修され、清潔で広々としている。地上階は食堂と様々な活動を行う大広間、1階は介護の必要度が高い入居者の居住フロアと看護婦立ち会い所、2階は男性、3、4階は女性入居者の居住フロア。最上階の5階には蔵書2千冊の図書スペース、屋外でくつろげるテラスを備え、各階にはテレビ付きの談話コーナーもある。
 入居者の部屋は、2人部屋が12平方メートルの寝室にトイレ、シャワーが付く。3人部屋は22・5平方メートルで、トイレとシャワーは3基をフロアで共有。
 各部屋とも備え付けのベッドと衣装ケースがあり、ベッドには緊急時に職員を呼び出せるボタンも付く。警備員と防犯カメラが24時間体制で監視を行っている。
 地域のボランティア60人ほども施設に出入りし、音楽体操やコーラス教室が開かれ、美容師による散髪や鍼治療のサービスも実施されている。
 国際協力機構(JICA)ボランティアの村田菊代さんも施設でサポートを行い、入居者は折り紙や裁縫、ダンス、カラオケ、カードゲームなどを楽しむ。趣味や会話を楽しむ人が多く見られ、人の出入りも多く毎日にぎやかな様子だ。
 入居3カ月という西岡パウリーノ五郎さん(92、二世)は、趣味の庭の手入れを生かし、施設内の庭木の管理をしている。「ここはとても居心地がいいよ。海やフェイラも近いからよく出かける。友達もできて、おしゃべりして過ごしてる」と笑顔で話した。
 今回の入居募集は男性3人、女性4人。男女とも2人部屋と3人部屋が空いている。2人部屋が空いている場合は、割高の利用料になるが1人での入居も可能。
 利用料は今月の場合、1人での部屋利用が4420レアル、2人部屋が3201レ、3人部屋が2057レ。ただし、介護必要度が高い入居者は利用料が2割増となる。
 問い合わせは同施設(電話=13・3232・9615)まで。厚生ホーム住所〈Av. Campos Sales, 62 – Vila Matias Santos – SP〉

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 サントス厚生ホームには約60人のボランティアが出入りし、音楽体操教室などの催しや、バザーを開催して収益を寄付するなど、入居者の生活を助けている。近くの青果店が新鮮な果物を持って来て、ボランティアがジュースにして振る舞ったり、過去には鮮魚店が豪華な刺身盛り合わせを持って来たこともあるとか。前園マルセリーノ援協事務局次長は「ここは地域密着型で運営している。温暖な気候もあるが、ボランティアの方々のおかげで、みんな温かい気持ちで過ごせている」と感謝の言葉を述べた。サントス厚生ホームには、施設だけでは提供できない思いやりが満ちているようだ。