リオ州=警官の殺害増すと犯罪減るは嘘=知事の主張とは反対の動き

 リオ州治安研究所(ISP)が03~19年のデータを分析した結果、殺人や強奪といった犯罪の減少と警官による殺害増加は相関関係にはないとの見解を発表したと9月30日付現地紙が報じた。
 同州で警官に殺された人の数は、13年の416人以降、右肩上がりに増えており、今年も1~8月で1249人の死者が出ている。このペースなら今年は1800人超となる可能性がある。
 ウィルソン・ヴィッツェル知事(キリスト教社会党)は、犯罪には強硬な態度をとるべきとの方針を固持しており、強奪や殺人の減少は警察の働きの実と考えている。
 9月21日に8歳女児が警官の発した弾で死亡する事件が起きた際も、今年は殺人事件が21%減っており、警察が強硬な姿勢をとらなければ、殺人事件の被害者は800人は増えているはずだと強調した。
 しかし、ISPの調査では、05年、14年、16年、17年の4回は、警官が殺した人の増加と、強奪、殺人の増加が一緒に起きている。これに対し、警官による殺害が増え、強奪や殺人が減少したのは、15年と19年の2回だけだ。
 また、04年、10年、11年、12年については、警官による殺害と強奪、殺人の三つの数字が全て減少している。しかも、12年は、殺人が4081件、強奪が10万3775件で、全調査期間中で最低を記録した上、警官による殺害も419人と、最少だった13年の416人とほぼ同数に減っている。
 これらの事実を鑑みてか、連邦検察庁で警官の生きすぎた行動を監査、抑制する部門は先週、リオ州での警官による殺害増加の原因が、貧困者や黒人が多いコミュニティの住民を、犯罪者で排斥されるべき敵とみなす知事の発言と関連している可能性を示唆した。
 また、州検察局も、同州での警官による殺害の増加について調査した結果、警官による殺害増加と殺人事件減少との相関性は確認できなかったと発表している。
 リオ州内の137地区中30の地区では、警官による殺害が既に昨年1年間の総数を超えているという。警官による殺害の半数は14地区で起きており、殺害最多のリオ大都市圏ベウフォルド・ロッショでは、既に89人が死亡している。