《ブラジル》スポーツ局長「ブラジルサッカーは集中治療室」と語る=スポーツ振興にも意欲見せる

サントスFC対CSA(参考画像・Ivan Storti/Santos FC)

 「ブラジルサッカーは瀕死の危機。集中治療室に入っていて、生命維持装置の管を抜けばすぐに死んでしまうような状態だ」という、かなり刺激的な台詞が、ブラジル連邦政府自治省スポーツ特別局長のデシオ・ブラジル氏の口から飛び出した。
 1日に国営メディアのTVブラジルで放送されたインタビューで、同局長は、チームを会社化して経営しようとしたが、失敗して財政破綻状態になっている、全国2部リーグ所属のフィゲイレンセの例を挙げ、「フィゲイレンセはサラリー支払いが遅れ、選手に試合出場を拒否されて試合放棄までしてしまった。おまけに2部リーグからの撤退さえ望んでいる。これは深刻だ」と語った。
 ブラジルのチームはどこも、フィゲイレンセほど深刻な状態ではなくとも、財政上の問題を抱えている。
 同局長は、「解決するにはフロントをプロ化するしかない。アマチュア経営ではダメ。女子チームだってそう」とした。
 デシオ・ブラジル局長の関心はサッカーだけに止まらず、他の種目にも及んだ。
 同局長は、「ブラジルで将来的にもスポーツが発展するためには、クラブ経営の専門化こそが優先事項」とした。
 これは、ブラジル以外の国では、学校スポーツが、国民の体育教育や健康増進に役立っているだけでなく、トップレベルの選手の育成にも寄与しているが、ブラジルではクラブがその役割を担っているからだ。
 事実、多くのサッカーチームは、正式名称に「スポーツクラブ」の言葉がついており、サッカー以外の種目のスポーツ選手も育成している。
 局長は、スポーツ振興やハイレベルな選手の育成を支える国レベルの政策が根幹となるべきとも考えている。
 ブラジル連邦政府は四つのスポーツ振興計画を継続しており、アマチュアから五輪クラスまで、合わせて8万人以上の選手をサポートしている。
 ブラジルは、7月から8月にペルーのリマで開催された、パンアメリカン総合競技大会で史上最多のメダル獲得数を達成した。現在は、様々な種目、様々な形で、東京五輪に向けた強化を進めている。(2日付アジェンシア・ブラジルより)