《ブラジル》MT州で鉱滓ダム決壊=2人が負傷、地域は孤立

ダム決壊で鉱滓に覆われた土地(Divulgação ANM)

 マット・グロッソ州州都のクイアバから42キロのノッサ・セニョーラ・ド・リヴラメントで1日、鉱滓ダム決壊事故が起きたと1日付現地紙サイトが報じた。
 国家鉱業庁(ANM)によると、決壊したのは高さ15メートルの鉱滓ダムで、金採掘に伴う鉱滓が58万2171・51立方メートルほど溜まっていたという。
 ダム決壊に伴う鉱滓流出は小規模で済み、ダムから1~2キロの範囲、厚みも10センチ程度に止まったが、ダム決壊に気づいた作業員(ショベルカーとトラックの運転手)が、ケガをして病院に運ばれた。
 ANMは直ちに採掘作業を停止させ、決壊が進む可能性の有無などを確認している。
 ダム決壊で流出した鉱滓が電信柱4本を倒したり埋没させたりしたため、同地区の送電システムに損傷が生じたが、電力会社は直ちにシステム修復などを行っている。
 ANMによると、決壊したダムは、これまでに提出された各種報告書では1度も異常が報告されておらず、国家ダム安全政策(PNSB)には、危険度やリスクは低いと登録されていた。鉱山所有者のVMミネラソンは9月25日に、同社と地方建築・工学・農業技師協議会(Crea)の各責任者の署名入りの現状報告を提出したが、そこでも決壊の危険性は指摘されていなかった。
 同州環境局によると、今回の事故では水源や環境保護区は直撃を免れており、鉱滓が覆った土地も、牧草地と同社の敷地内に止まったという。
 VMミネラソンには生産活動停止と原因究明、緊急対策の詳細を記した報告書の提出が命じられた。同社の操業許可は21年7月までで、決壊したダムは鉱滓80%、水分20%。汚染物質は含まれていないという。