部族の言葉や方言を大切にしよう

 「何やってりゃーす」「とろっくさー事、言っとってかん」「怖ぎゃー事言やーすな」―。小5で転校した時、級友がそう話していたが、何もわからなかった。漢字交じりにすれば少しはわかり易いが、これを見てわかる人は名古屋弁に馴染みがある人だ▼各々、「何してるの」「バカな事言ってちゃダメ」「怖ろしい事言わないで」の意味だが、中学に転入した姉も同じ経験をして帰ってきた。だが、後にテレビで、本来の名古屋弁は非常に丁寧なもてなし言葉だと聞いた。同様に、転居や旅行で方言や他国語に接し、驚いたりした人は多いだろうが、言葉の豊かさは文化や歴史の豊かさでもある▼ブラジリア大学では6日まで、「国際先住民族言語年」にちなみ、先住民や少数民族の言語に関する国際会議を開いている(2日付弊紙サイト参照)。国連によると、世界には6~7千の言語があるが、世界の総人口の97%が話す言語は4%に過ぎない。残る96%の言語の存続は、先住民など3%にあたる人々にかかっているのだ▼NHK国際放送が見られるようになってから、めっきりコロニア語が聞かれなくなったのと同様、先住民の言語は、ポ語話者や他の部族語の話者と混じれば簡単に消滅しうる。先住民言語の研究者は、部族語保存にはコミュニティやテリトリーが必要だと説いている。部族語はその部族の文化や歴史とも密接に関係しており、先住民保護区は言語保存の意味でも重要なのだ。だが、ボルソナロ大統領は、西欧諸国がアマゾンに関心を持つのは鉱物資源が目的で、森林や先住民を案じての事ではないと繰り返す。本当は大統領の関心がそこにしかないと考えたくなるのはコラム子のみ?(み)