《ブラジル》法定アマゾン=1~9月の森林伐採が倍増=牧草地は30年で74%増=放置された5千万haは?

伐採後に牧草地として使われている土地(PMA/Divulgação)

 国立宇宙研究所(Inpe)が11日、森林伐採取り締まり用の伐採管理Bシステム(Deter―B)によると、1~9月の法定アマゾンの森林伐採面積は7853・91平方キロで、昨年同期を92・7%上回ったと発表したと11日付現地紙サイトが報じた。
 ここ4年間の1~9月の伐採面積を見ると、16年4899・28平方キロ、17年2470・35平方キロ、18年4075・9平方キロで、今年の数値は昨年比で倍増、17年比で3倍増、16年の年間総計の6032・59平方キロも超えている。
 伐採面積最多は、パラー州の3027・26平方キロで、マット・グロッソ州1617・03平方キロ、アマゾナス州1281・28平方キロと続く。増加率ではアマパー州の809・8%やパラー州の152・7%が目立つ。トカンチンス州とマラニョン州では伐採量が減っている。
 森林伐採は製材目的でも行われるが、法定アマゾンでは伐採跡地を農牧地として使う例が多い。伐採跡地を農牧地とする際に問題になるのが焼畑で、8月に国際的な問題となった森林火災の多くは焼畑が原因だ。
 森林伐採後の土地をそのまま放置すれば、原生種と同じ種類の木などが生え、森が回復する可能性がある。再生林は原生林と同じではないが、先住民が「木を切っても森は蘇る」というのは、このような状態を指す。だが、焼畑後に牧草地や大豆畑などにされた土地が再生林として復活する事は困難だ。
 16日付現地紙サイトによると、非政府団体の気候観測所は、法定アマゾン内の牧草地は30年間で74%増えており、伐採面積の80%が牧草地として使われていると見ている。サンパウロ総合大学農業中核エネルギーセンター(Cena)も9月に、森林伐採地の60~80%は牧草地として使われているとの見解を発表している。
 また、法定アマゾン内の土地は酸性度が高く、金属イオンも多いため、牧草地には余り適しておらず、次々に開発する必要があるともいう。
 一方、7月5日付『サイエンス』誌によると、法定アマゾンには居住地でも森林でも農地でもない土地が5千万ヘクタール(ha)ある。これらの土地は森林伐採や農牧地としての使用で劣化した土地だ。うまく管理して使えば新たな開発は不要なだけの土地が放置されている訳で、植林すれば少なくとも地球温暖化防止に繋がる。
 Cenaによれば、法定アマゾンの牧草地の40~60%は何らかのレベルで劣化しているという。劣化した土地は地力を失い、生産性が低下。エコシステムという面でも機能を失うから、生産者にとっても環境面からみても頭痛の種だ。