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酒サムライ、大志万で熱弁=「日本文化の奥深さ知って」

飯田龍也アレシャンドレさん

 サンパウロ市モエマ区の「酒蔵ADEGA DE SAKE」オーナーの飯田龍也アレシャンドレさん(44、二世)は18日夜、サンパウロ市の大志万学院で父兄向けの日本酒講演会を行い、古代日本の口噛み酒(くちかみざけ)や、「酒」という漢字の成り立ちから始まるウンチク満載のポ語講演に約100人が酔いしれた。
 「シュラスコに合う銘柄を教えてほしい」と質問すると、飯田さんは「現在、ブラジルには日本酒が130種類ほど輸入されており、消費量はどんどん増えている。シュラスコのような肉料理、イタリア料理、チーズにも合う日本酒がある。味付けによって変わるので、どの料理ならどの銘柄とは一概に言えない。どれが合うかは、個別に相談にのっていますよ」と答えた。
 今回の講演会は、飯田さんが大志万学院の前身である日本語学校・松柏学園の卒業生であることから企画された。冒頭、松柏学園訪日研修の団長だった時、旅先で靴をなくして要人訪問ができなくなった思い出話から始め、客席を笑いの渦に巻き込んだ。
 そんな飯田さんも現在では、日本酒造青年協議会(東京都)から2015年、メキシコ以南では初の『酒サムライ』に任命された立派な利き酒師だ。ブラジル・ソムリエ協会の日本酒講師も務めており、全銘柄の特徴が頭に入っている。
 「酒」という漢字が、水を意味するサンズイと「酉」(とり)からなっていることを図解。「酉」は十二支の干支の10番目で、「酉の月」といえば新暦9月。つまり日本酒の原料となる米の収穫時期を意味し、米と水を主原料として作られる「酒」という漢字が生まれたという説明に、会場からは驚きの声が漏れた。
 「Pasteurização」(低温殺菌法)という言葉は、微生物学の祖であるルイ・パスツールらによって、ワイン殺菌法として最初に導入されたことからパスツールの名をとって1866年に命名されている。
 ところが日本では、パスツールに先立つこと300年も前、1560年頃には日本酒において同じ方法が経験的に生み出され、「火入れ」として行われてきた歴史を紹介し、「かくも日本文化は奥深い」と説いた。
 歴史的に積み上げられた13もの厳密な工程を経て、3カ月がかりでようやく生産される様を図解し、「こんなに手間をかけて作り上げた日本酒は、足すモノも引くモノもない存在。そこに砂糖入れたり、氷を入れたりするのはお薦めではない」とカクテルに入れる飲み方をくさした。
 講演後は純米吟醸「水芭蕉」、特別本醸造辛口「金波」(きんば)の試飲会となった。このような講演会はよく開催されており、今回のような歴史だけでなく、飲み方から飲むときのエチケットまで広範な内容が用意されている。関心がある人は酒蔵(WhatsApp Comercial=11・975240・0020)まで連絡を。
 松柏学園創立者の川村真倫子さん(91、二世)は「教え子に教えられました。この間までお尻ぺんぺんしていた生徒が、立派になって」と感心していた。
 父兄の一人エリアス・フェレイラさん(41)は「妻が日系三世なので家庭の中で日本酒を飲む機会がよくある。以前から歴史や生産工程に関心があったから、今日の話は凄く面白かった」とおちょこを片手に語った。

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