県連故郷巡りアマゾン=90周年に沸く「緑の天国」=(17)=ベネズエラ難民が多いマナウス

マナウスの式典後に行われた夕食会で、乾杯の音頭を取った竹田ヴラジミル満音副会長

 ベレン市で90周年の式典を終え、一行は15日の朝に飛行機でマナウスへ向かった。空港では、トメアスーとベレンの式典に出席していた、西部アマゾン日伯協会の竹田ヴラジミル満音副会長(60、二世)と再会した。
 記者が拙いポルトガル語で話しかけようとすると、「日本語で大丈夫ですよ」とにこやかに答えてくれた。日本に4年近く住んでいたことがあり、流暢な日本語を話す。
 竹田副会長は、サンパウロ出身。マナウス在住の叔母に誘われ、東京海上日動火災保険会社で2年、三井住友で8年勤めた。その後は独立して保険ブローカーの仕事を始め、日系企業の顧客を中心に事業を展開している。
 同日伯協会では副会長を務める他、マナウスカントリークラブの会長も兼任している。マナウスは日系人が少ない印象があるので尋ねると、同日伯協会に所属している人は150家族余、最近は非日系人が増えているという。
 「風河火山という太鼓グループに所属しているのは80%が非日系人。マナウスカントリークラブで野球をする人も非日系人や、ベネズエラからの難民も多いんですよ。しかも強くて、北伯の野球大会で優勝しているんです」。
 また、マナウスには全伯で初めて州立の全日制日本語バイリンガル校「デジャウマ・ダ・クーニャ・バチスタ」(Escola Estadual de Tempo Integral Bilíngue Professor Djalma da Cunha Batista)が開校している。
 アマゾナス連邦大学日本語・文学学科が協力し、非日系人が生徒の主体だが、日本語の授業が正課として組み込まれている。珍しい公立校だ。竹田副会長は「今回の式典でも日本語の歌を披露しますよ」と話すなど教育成果に期待がかかる。
 竹田副会長はマナウスについて、「経済の落込みに加え、ベネズエラからの難民が増加し、治安は悪化している」という。軍警により難民キャンプ場が作られたことで、徐々に町の治安状況は改善しているが、「暫くこの状況は続きそうですね」と苦笑する。
 ベネズエラからの難民は、国技である野球の練習の練習に参加するため、噂を聞いてマナウスカントリークラブにも来るのだという。「全員を無料で受けさせるわけにも行かないので、人数を制限したり…可哀想ですけどね」と同地ならではの悩みを語った。
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アマゾナス劇場

 マナウスで開催された90周年式典の会場「アマゾナス劇場」は、ゴム景気により1896年に建てられた。イタリア・ルネッサンス様式の建物だ。建築材はすべてヨーロッパから輸入されており、豪華な調度品も使われた贅沢な造りとなっている。
 故郷巡りの参加者の中には、これを目当てに参加した人もいるほど有名。式典開催の1時間前には、既に開場を待つ地元民たちの列ができていた。(つづく、有馬亜季子記者)