《ブラジル》三権分立調査=司法が最も他の分野に介入=ただし信頼度でもトップ=「周知広報が重要」と調査員

連邦最高裁判所とその前に建つ正義の像(Supremo Tribuna Federal)

 リオに本部を置く学究機関ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)がブラジル司法官協会(AMB)と共同で行った調査によると、ブラジル人の45%は「司法が行政や立法に介入している」と考えていることが分かった。26日付現地紙が報じた。
 FGVは弁護士や公選弁護人、一般人を含む2500人に聞き取り調査を行った。
 「司法が行政や立法に介入しているか」との問いに「そう思う」と答えた人は45%で、「そう思わない」が33%、「分からない・無回答」が22%だった。これを弁護士、公選弁護人に限定すると、「そう思う」が71%、「そう思わない」が27%、「わからない・無回答」が2%だった。
 このような質問を含む調査は初めてで、調査結果は26日開催の国家法務審議会(CNJ)でジアス・トフォリ最高裁長官に手渡された。
 また、全体の60%が、「三権は分立しておらず、互いに介入しあっている」と答えた。
 弁護士や公選弁護人の間では、司法が最も他の分野に介入しているとされたが、一般人が最も他の分野に介入していると見ているのは、25%だった立法で、司法は2番目(22%)だった。
 また、「司法の立法や行政への介入を良いことだと思う」と答えた一般人は26%で、弁護士たちは29%。「悪いことだと思う」としたのは、一般人が51%で、弁護士たちは66%だった。
 FGVのマルコ・ベリーゼ教授は、「現状が認識できた。これが調査をやった意義。三権分立についての議論は、この調査が出発点となる」と語った。
 他の分野への介入があると見られた司法だが、「最もよく機能しているのは?」との質問では、「司法」が33%でトップ。「立法」は9%で、「行政」は8%だった。「どれもよく機能していない」と答えたのは28%だった。また、司法を信頼していると答えたのは52%で、行政は34%、立法は19%だった。
 しかし、「司法と聞いて思い浮かべるのは?」(選択式、複数回答可)の質問には、45%が「心配」と答え、「希望がある」が25%、「恥ずべき存在」が25%、「怒りを覚える」は24%、「悲しい」が20%、「恐ろしい」が18%だった。
 また、「司法にとってなにが一番重要か」との質問には一般人は「信頼性」(41%)と答え、弁護士らは「中立性」(44%)と答えた。
 また、調査では11の司法機関の名を挙げ、それぞれの認知度を測ったが、全機関とも、「よく知っている」「大体知っている」の合計が50%を下回った。
  ベリーゼ教授は、「司法についてちゃんと知っている人ほど、司法への評価が高い。重要なのは司法の取り組み、司法の仕組みを広く周知していくこと」と語った。