なにわ会=布瀬雅義さん大阪万博を講演=「未来を見せる。ぜひ来て!」=人類共通の課題解決を探る

講演する布瀬雅義さん

 「ぜひ皆さん、健康に気をつけて6年後の万博を見に来てください」――一般社団法人2025年日本国際博覧会協会の審議役(国際担当)、布瀬雅義さん(66、東京都)が22日に来伯し、24日(日)午後4時からサンパウロ市の大阪なにわ会館で、特別講演「大阪万博2025」を約1時間行い、約50人の来場者にそう呼びかけた。

熱心に聞き入る会場の様子

 「1970年大阪万博は6400万人が来場し、20世紀で一番成功した万博と高く評価された」と説明し、「未来をお見せするのが万博。今では当たり前になっている携帯電話、電気自動車、動く歩道などが、あの時に初めて展示されたのです。今回も同じように次の未来をお見せする」と期待させた。
 2025年万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、5月3日から11月3日までの183日間、大阪の夢洲で開催される。想定来場者数は約2800万人で、経済波及効果は約2兆円とも予想され、来年の東京五輪後の日本を牽引する巨大プロジェクトといわれる。
 「多様で心身ともに健康な生き方」がサブテーマの一つ。大阪は物流・商流の中心地であったことから、日本各地から様々な漢方の原材料が集まり、それによって多くの薬問屋や製薬メーカーが大阪に集積してきた。また幕末に蘭学者・緒方洪庵が大阪で開いた蘭学の私塾「適塾」が西洋医学導入の中心となり、大阪大学医学部の前身になった。健康と長寿を追求するこのサブテーマは、大阪での万博にまことにふさわしいと言える。
 「人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場に」というコンセプトに合わせ、様々な解決策を提示していく予定だという。
 すでに「健康と長寿」を目指して、様々な技術開発が進められている。一例は蚊による伝染病の対策だ。ブラジルでは現在も蚊媒介感染症(黄熱、ジカウイルス、デング熱、チクングーニヤ熱)が大問題だが、アフリカやインドでもマラリア被害がひどい。それに対して住友化学は、特別な蚊対策をした蚊帳を開発し、世界で3億張(ちょう)も使われ、56万人の命を救った。
 このような病気を予防する技術に加え、日本では足の衰えた人の歩行を補助したり、介護者が病人を持ち上げる時に役立つロボットスーツも実用化されている。これらはほんの一例で、2025年にはさらに進んだ技術が世界中で開発されているだろう。万博は、そうした新技術を世界中から持ち寄って、お互いに学び合う場を目指している。
 質疑応答では「南海トラフ巨大地震が会期中に起きても大丈夫か」とか「通信の第5世代(G5)や第6世代(G6)のことや、日本が世界を平和にするための取り組みなど意欲的な内容がほしい」などの声も寄せられ、布瀬さんは一つ一つ丁寧に答えていた。

大志万学院まほら会の宮崎マルシアさん

 当日は午後2時からなにわ会恒例「健康座談会」が開催され、大阪府留学生OBの医師らが講演した。さらに大志万学院まほら会の宮崎マルシアさんが「食育」をテーマに和食の素晴らしさを説明し、「食べることは生きる力を育むこと。健康的な食習慣を子ども時代に身につけることは生涯の宝」と説いた。

講演する西国幸四郎医師

 西国幸四郎医師も「和食文化と健康増進」をテーマに、日本人の肥満率は4%だがブラジルは53%と高く、そこから高血圧やコレステロール、糖尿病、腰痛につながると比較し、「違いを生むのは食生活。和食は重要」と熱く語った。
 来場していた岡崎祐三夫妻は、「健康に興味がある。大阪万博を見に行きたくなった。ためになる話がいろいろ聞けてよかった」と喜んだ。