長野県人会創立60周年祝う=副知事ら12人が慶祝来伯!=絆大切に日伯交流促進誓う

慶祝来伯団、ブラジル側代表者ら

 在ブラジル長野県人会(篠原オラシオ裕之会長)は創立60周年記念式典と祝賀会を17日、サンパウロ市リベルダーデ区のブラジル愛知県人会会館で行った。母県から小岩正貴副知事、清沢英男県議会議長ら12人、アルゼンチン長野県人会からも清水ヘクトル会長夫妻が来伯、篠原会長ら県人会の会員、日系団体代表者ら約300人が出席し、県人会会員の表彰や記念品交換、日本舞踊などのショーで節目を祝った。

あいさつを行う小岩副知事

 小岩副知事は式典で、「ブラジルを含む中南米の3つの県人会から毎年研修生を受け入れている。今年は節目を祝い、ブラジルから2人を受け入れた。さらに県の日本語教師をJICAボランティアとして第一アリアンサ(通称長野村)の日本語学校に派遣している」と交流事業を紹介した。
 「長野県とブラジルの懸け橋として次世代を担う三、四世の方々にも、郷土文化を受け継いでもらえるよう、今後も県人会の取り組みに協力する」と述べ、会場から大きな拍手が送られた。
 篠原会長(67、二世)は「県人の大変な苦労のおかげで、立派に育った子弟がブラジル社会で活躍している。先駆者の方々に敬意を表する」と述べ、「元県費留学生を取り込み、他の県人会とも協力してイベントを増やしたい。若い県人子弟も母県に興味を持ってもらえるよう郷土芸能の発信もしたい」との展望を明かした。
 留学・研修生を代表し、10年前に長野県環境保全研究所で研修した北パラナ州県人会支部長の南保アルベルト勝博さん(36、三世)も登壇し、「日本では多くの方々との巡りあいがあった。得られた経験を生かし、現在学校の教師を務めている。日本での思い出や絆も大切に今後も母県のことを伝えていきたい」と日本語で述べた。
 代田正二さん(94、飯田市出身、マットグロッソ・ド・スル在住)は1954年に「ぶらじる丸」で渡伯。「今後も若い方たちと連携して次世代に県人意識を保ち、留学など日ブラジル人材交流を活発にしてほしい」と今後の県人会に対する希望を語った。

式典の様子

 式典では、県人会活動と日伯交流促進に貢献した島崎正男、宮島兄夫、宮澤左門、牧野恒司の4氏が、長野県から功労者表彰を受け、表彰状が小岩副知事から手渡された。瀬川正文さんら80歳以上の会員95人も高齢者表彰を受け、瀬川さんら5人が代表で表彰状を受け取った。
 日伯両国国歌と県歌『信濃の国』を出席者で斉唱。ブラジルの県人先没者と、10月に日本全国で大きな被害を及ぼした台風19号の犠牲者に黙とうがささげられた。
 式典には母県、アルゼンチンからの来伯の他、野口泰在サンパウロ日本国総領事、山田康夫県連会長ら日系団体代表者、サンパウロ大学教授の二宮正人氏(70、上田市出身)らも出席。

慶祝来伯団、県人会、日系団体で記念品を贈りあった

 午後からは祝賀昼食会が催され、長唄和の会の三味線と花柳金龍会の日本舞踊の共演、県人子弟による歌謡ショーなどが披露され、節目をにぎやかに祝った。最後は県人会子弟、慶祝来伯団、式典出席者で『松本ぼんぼん』を踊り、閉会した。
 小岩副知事ら慶祝来伯団は15~21日の間ブラジルに滞在し、県人会との交流、サンパウロ市イビラブエラ公園の開拓先没者慰霊碑への献花を行い、日本移民史料館、ジャパン・ハウスを訪問。小岩副知事はリオ州の県人会支部でも懇談会を行い、清沢県議会議長はサンパウロ州ミランドーポリス市の第一アリアンサ移住地を訪ねた。

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 長野県人会創立60周年記念式典には日本からも小岩正貴副知事ら12人が来伯したが、当初は阿部守一知事が来伯する予定だった。ところが、台風19号が長野県にも大きな被害を及ぼしたため、その復旧の対応に追われて来伯がかなわなかった。式典でも代表者あいさつで、災害からの復旧を願う文言があった。小岩副知事は県人会との交流を通して「台風のことを心配してくださったり、一世の方々が昔の長野県のことを教えてくださったり、母県への強い思いを感じた」と感想を述べた。一日も早い母県の復興を祈るばかり。「ブラジルにも日本の故郷を思う県人がいる」ことを、もっと日本の日本人に知ってほしいものだ。