《サンパウロ》大型スラムの野外ディスコで将棋倒し9人圧死=逃亡者が逃げ込み、警察が催涙弾=ドリア知事が厳格な調査を命令

ドラマの舞台にもなる異色のファヴェーラだったパライゾポリスで悲しい事件が起こってしまった(参考画像・Leo Varella)

 サンパウロ市南部のファヴェーラ(スラム街)パライゾポリスで1日未明、「バイレ・ファンキ」と呼ばれる、夜通し大音量でファンク音楽を路上で流す野外ディスコが行われていたところに、周辺で警察と銃の撃ち合いになっていたバイクに乗った犯罪者2人が逃げ込んで混乱が起き、9人が圧死する事件が起きた。1、2日付現地各紙・サイトが報じている。
 狭い路地が密集していたバイレ・ファンキの会場には、およそ5千人以上の参加者がいた。その狭いスペースに人が密集している中に、犯罪者を追跡していた警官が銃を撃ったり、催涙ガスを放ったりしたために大混乱が発生した。大人数による将棋倒し(群集雪崩)が発生し、男性8人、女性1人の合計9人(内未成年者5人)が踏まれて圧死、12人が負傷した。
 軍警広報官のエメルソン・マセラ中佐は、「警察の検問を突破した2人組を追ってファヴェーラに入ったら、住民やイベント参加者が瓶で殴ってきた。仕方なく催涙ガス弾やゴム弾を撃った」と発表しているが、ファヴェーラの住民やイベント参加者の方は「いきなり警察に殴られた」と証言している。
 警察が一方的に人々を殴打している様子の映像も公開されたが、撮影された場所、日時は特定されていない。
 犯罪者を追跡していた警察6人は1日、事情聴取を受け、銃を没収された。マセラ中佐は、「撃ったのは合計12発。催涙ガス弾2発と鎮静効果ガス弾、ゴム弾8発」と発表した。
 1日夜の地元TV局の番組では、人々が狭い路地で道をふさがれ、閉じ込められた映像も流された。マセラ中佐は「警察は人々を路地に閉じ込めてなどいない。群衆の中で人が転び、後ろから来た人たちに踏まれた」と説明している。
 ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)は1日の昼過ぎに、「パライゾポリスで起こった事件に深く哀悼の意を表する。カンポス治安局長に、状況と責任者を明確にするために厳格な調査を行うことを命じた」とツイートした。
 人口およそ10万人のパライゾポリスはサンパウロ市内で2番目の規模のファヴェーラで、ブラジル全体でも5番目だ。2015年には「アイ・ラブ・パライゾポリス」のタイトルでTVドラマも作成されていた。
 今回亡くなったのはマルコス・サントス(16)、ブルーノ・サントス(22)、エドゥアルド・シウヴァ(21)、デニス・シウヴァ(16)、マテウス・コスタ(23)、デニス・フランカ(16)、グスタヴォ・シャヴィエル(14)、ガブリエル・モラエス(20)、ラウラ・オリヴェイラ(18)の9人だ。