《人間開発指数》ブラジルは順位一つ下げ世界79位=教育系指数が足を引っ張る

教育系指数の伸び悩みがIDH伸び悩みにつながった(参考画像・Camila Souza/GOVBA)

 国連開発計画(PUND)が人間開発指数(IDH)を発表し、ブラジルは0・761ポイント(P)で世界189の国と地域の中で79位だったと、9日付現地各紙が報じた。
 最高点は1Pで、最低点は0Pだ。0・55未満は「低い」に分類され、0・55以上0・699以下は「中程度」、0・7以上0・799以下は「高い」、0・8以上は「非常に高い」に分けられる。
 1位はノルウェーの0・954Pで、2位はスイスの0・946P、3位はアイルランドの0・942Pだった。ブラジルは0・761Pで「高い」に分類され、79位だった。ブラジルとほぼ同じレベルだったのは、同点同位のコロンビアやグレナダ(0・763Pで78位)、タイ(0・765Pで77位)、アルメニア(0・760Pで81位)となっている。南米諸国で最も高いのはチリの0・847P、42位だった。
 IDHは「健康」、「経済」、「教育水準」の3大項目を総合して算出される。ブラジルの場合、「健康」(平均寿命)と「経済」(国民1人あたりの平均GDP)は上昇したが、「教育水準」(「成人の平均就学年数」と「予想される、子供の就学年数」)の停滞が響き、昨年より一つ、順位を落とした。2016年以降、ブラジルの「予想される子供の就学年数」は、15年と5カ月弱で停滞している。
 ここ数年間のブラジルのIDHの伸び幅は、0・002~0・003P/年だ。1990~2013年の伸び幅は大きかったが、2014年以降は勢いが止まった。
 しかしながら、国連のIDH報告書作成責任者ペドロ・コンセイソン氏は、「長期的視野で見るべき。1990年のブラジルの指数は0・613だった。それを思えば、ブラジルは成長軌道にあるといえる。経済が戻りさえすれば、ブラジルのIDHはまた力強く伸びる」と語る。
 
大きな課題は貧富の差

 PNUDの調査によると、ブラジルでは保有資産上位から1%の人が、国の資産の28・3%を所有している。これは、29%のカタールに次ぐ世界第2位だ。
 この「社会格差」を加えてIDHを算出すると、ブラジルの指数は0・761Pから0・574Pへと約24%も下がり、世界ランキングも23位下がる。
 コンセイソン氏は「社会格差の問題は、前政権がどうだったとか、その前の政権のミスのせいとか、そうゆうことではなく、ブラジルが抱える歴史的な課題」としている。
 PNUDはまた、男女格差にも言及している。ブラジルでは女性の方が就学年数が長いが、所得は男性より41・5%も低く、就業の機会でも差をつけられている。
 国会における女性議員の比率も、ブラジルは15%で、IDHで世界最下位のニジェール(17%)よりも低い。