パライゾポリス=さらに軍警32人を職務停止に=遺族の要望受け知事が決断=「厳格な捜査行う」と表明

パライゾポリスには犠牲者を悼む貼紙が各所に貼られている(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 【既報関連】サンパウロ州のジョアン・ドリア知事は9日、サンパウロ市南部の大型ファヴェーラ、パライゾポリスで発生した若者9人の圧死事故に関わっていたとして、軍警32人を一時職務停止処分とした。10日付現地各紙が報じている。
 この処分は9日に行われた遺族との面会後に決定された。これで、職務停止処分となった軍警は、事故直後に同じ処分を受けていた6人と合わせて38人に増えた。38人の軍警は、事故の調査終了まで内勤となる。
 5千人以上が徹夜で参加する屋外でのファンクパーティー会場に、犯罪者を追跡していた軍警が入って来たため、参加者らが軍警に抵抗。これに対して軍警がゴム弾や催涙ガス弾を使用したために混乱が生じ、パニック状態になって事故につながった。事故直後には、軍警が参加者に暴行している映像も拡散された。
 遺族たちは罪に問われることを恐れた軍警が既に証拠隠滅を行ったのではないか、また、他にも類似の事件を起こし、もみ消しを行ったのではないかと危惧している。
 亡くなったデニス・エンリケさんの兄弟のダニーロ・アミルカルさん(19)は、「軍警たちが僕らに報復してくるのではないか、証拠隠滅を行うのではないかと僕たち遺族は心配していた。知事は僕らの要請が決して道理に外れたものではないと分かってくれた」と語る。
 職務停止処分になった32人の軍警は、パライゾポリスを管轄する第16大隊所属だ。同件の捜査は、軍警監察局と市警の殺人罪・人身保護担当課(DHPP)が行っている。また、遺族側から出された要望の一つである、民間人からなる外部委員会が設置され、捜査の進展を見守る。
 遺族はまた、軍警がもっとファヴェーラの住民やファンクパーティーの参加者の声に耳を傾けることを望んでいる。「今後同じことが起きないためにも、軍警はファヴェーラの住民の声に耳を傾けてもらいたい」とアミルカルさんは語る。
 遺族と州知事の面会に同席したサンパウロ州検察局のリア・コローナ局長は、「今回の面会は、『敬意』、『透明性』、『再発予防』をキーワードとして、州政府が行っている取り組みを遺族たちに示すものだった」と語る。ドリア知事も、「独立機関の監視の下、事故の調査は透明性を持って、厳格に行われる。これがサンパウロ州としての責任」と書面で発表した。
 会見前には、サンパウロ州政府とサンパウロ市政の関連部局の局長クラス20人がパライゾポリスを視察した。現地住民は視察団に対し、事故につながった大型野外ディスコDz7の継続と、運営に公的機関も加わることを要請。近隣のモルンビ区も含むパライゾポリス区を新たな行政区分とし、区役所を設置することも求めた。