COP25=ブラジルが巨大化石賞まで受賞=温暖化防止逆行に先住民攻撃で

会議を延長し、15日まで行われたCOP25(14日、Unclimatechange)

 【既報関連】マドリッドで開かれた気候変動枠組条約締約国会議(COP25)は予定を延長して15日に終了したが、ブラジルは単独会議初の2度の「化石賞」に続き、初の「巨大化石賞」も受賞と13、14日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
 4日と11日に受賞した化石賞と巨大化石賞は共に、温暖化対策に消極的で、気候変動に悪影響を与える国や機関を表彰する不名誉な賞だ。前者は1日単位で選ばれるのに対し、「年間化石賞」とも呼ばれる後者は総合評価で選ばれる。
 国際環境非政府団体の「気候行動ネットワーク(CAN)」によれば、今会議で6度化石賞を受賞した米国やブラジル同様2度受賞(2度とも1位)した日本ではなく、2度目は2位だったブラジルが巨大化石賞に選ばれたのは、ブラジルで続く一連の行動が温暖化抑制に逆行するととられたからだ。
 ブラジルの受賞は予期されたもので、「領土内や諸交渉での気候破壊が他国より著しかった国がある」「唯一無二のエコシステムを保護しようとしている人達(先住民)を攻撃、殺害してきた」との表現まで使われた。具体的には、法定アマゾンの森林火災を環境活動家らのせいにし、カーボンクレジットに関する規定(パリ協定6条)の人権に関する言及を削除しようとした、今会議の声明に「気候変動の危機的状況」との言葉を入れるのに反対したなどだ。
 また、「ボルソナロ政権はブラジルが過去10年間で温室効果ガス排出量を大幅に削減してきた環境政策を抹殺した」「ジャイール・ボルソナロ氏は炭素を撒き散らす爆弾」との表現で、現政権の環境政策を批判した。
 環境活動家の批判はボルソナロ政権の環境政策だけでなく、森林伐採が増え、削減目標達成の目処さえ立たないのに、先進国からの資金獲得のために会議に参加したリカルド・サレス環境相にも向けられた。
 ブラジルでは森林伐採が温室効果ガス排出量を左右する最大要因だが、他国では化石燃料が最大要因だ。サレス氏は、「先進国は化石燃料の使用から目をそらさせようとしている」「先進国はカーボン市場を開放しようとせず、金を出し渋る」と、先進国の保護主義を批判した。カーボン市場に関する規定作りが来年持ち越しとなった事を受け、サレス氏は「ブラジルなどのカーボンクレジットを提供できる国は交渉に負けた」「今会議で得たものは何もない」と語った。