アカデミー賞=ブラジルの政変描いた「消え行く民主主義」がノミネートに前進=ネットフリックスで国際的に話題と物議

 16日、米国の映画アカデミーが、来年2月に行われるアカデミー賞のドキュメンタリー部門の最終ノミネート前の15作の候補を発表。2013年以降のブラジルの政変を描いたドキュメンタリー「ブラジル 消え行く民主主義」が候補に残った。
 「消え行く民主主義」は、2016年に起きたジウマ大統領(当時)の罷免や、2018年のルーラ元大統領の逮捕と刑執行までの、労働者党政権の崩壊の内幕を描いたもので、動画配信サービス「ネットフリックス」で今年6月に国際的に配信されていた。
 ジウマ氏罷免やルーラ氏の服役開始は「財界とメディアによるクーデター」との主題設定による映画は、ジウマ政権を告いだテメル前大統領やボルソナロ現大統領にかなり批判的な内容でもあるため、ブラジル国内では物議を醸したが、米国ニューヨーク・タイムス紙、英国ザ・ガーディアン紙から絶賛されるなど、国際的には好評を得ている。
 この映画は、ルーラ氏の逮捕、有罪、刑執行の理由にもなったラヴァ・ジャット作戦の内幕を暴露した、国際的ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏による「ヴァザ・ジャット」(6月開始)と並んで、ルーラ氏の釈放運動を後押しするものとしても機能し、11月にはルーラ氏釈放が実現した。
 アカデミー賞の正式なノミネート発表は1月13日で、ドキュメンタリー部門は5作品に絞られてノミネートされる。
 また、16日には外国語映画賞を改めた国際長編映画部門の最終ノミネート前の10作品も発表され、ブラジル代表としてノミネートされていた「ザ・インヴィシブル・ライフ・オブ・エウリデセ・グズモン(ブラジルでの題はA Vida Invisivel)」は落選となった。(16日付G1サイトより)