森林伐採削減にセラードの例生かせぬか

 マドリッドでの気候変動枠組条約締約国会議の最中、持続可能な開発のためのブラジル企業審議会が「ブラジルはカーボン市場を一つの機会としてみる必要がある」として、連邦政府に柔軟な姿勢をとるよう求めた。自国では温室効果ガス排出量削減が困難な先進国が排出量削減に繋がるプロジェクトなどを支援するカーボン市場向けに、排出量削減のための新プロジェクトや対策を講じるよう求めたのだ▼ボルソナロ大統領は食糧確保や経済活動促進のためにはアマゾンや先住民保護区の開発が必要と考えており、法定アマゾンの森林伐採急増はそれを反映しているが、隣のセラードでは今も残る原生林の開発が減少した。昨年8月~今年7月の法定アマゾンの森林伐採は29・5%増の9762平方キロだったのに対し、セラードは前年同期比2・26%減の6484平方キロで、2000年の統計開始以来、最少だったのだ▼セラードはある程度開発済みで、環境保護区の森林伐採が15%増えるなどの問題はあるが、新規開発に代わる、開発済みの土地の再開発ともいうべき「ABCセラード計画」というプロジェクトが2015年に発足。7800人の農業生産者が参加し、疲弊して生産力が落ちた牧草地9万3千ヘクタールを回復させる事で牛の成長を速め、出荷までの期間短縮や単位面積当たりの生育数増加などの効果を得ている。この計画の恩恵を受けた人は生産者や家族、学生、技術者など、1万8千人に上り、「新しい土地を開発しなくても生産が向上した」との言葉は同計画が原生林保護にも役立つ事を示している。セラード同様の発想や技術の応用が、法定アマゾンの伐採減少にも繋がる事を願いたい。(み)