ベネズエラ=大統領に続き、議長も2人に=グアイドが議長の座追われる?=反対派を締め出し勝手に選挙

グアイド氏(同氏ツイッターより)

 ベネズエラの国民議会で5日、ブラジルが同国大統領と認めるフアン・グアイド議長が、議会少数派のニコラス・マドゥーロ大統領支持派が強行した投票の結果、議長を追われる事態が起きた。これに対し、議会多数派は議事堂と別の場所で改めて議会を開き、グアイド氏を議長と承認するなど、混乱が生じている。6日付ブラジル国内紙が報じている。
 マドゥーロ政権は、議会内の選挙によって、国民議会新議長にルイス・パーラ氏が選ばれたと発表した。ただし、この議会選挙は、議会内で多数派を占める反マドゥーロ派が締め出された中で行われたものだった。
 同国議会(上下院制のない一院制)は定員167人中、112人が反マドゥーロ派。そのほとんどがこの日、警察によって議事堂に入ることを許されなかった。その中にはグアイド氏本人も含まれており、塀をよじ登って中に入ろうとしていた姿が世界的にも報じられている。
 パーラ氏自身は選挙後、「140人の議員による選挙で選ばれた」としたが、実際には60人ほどしか選挙には参加していなかったと見られている。さらに投票法も、挙手のみで行われたとも言われている。
 同国の法律に従えば、下院の過半数、つまり84人以上が認めない限り、議長が選ばれることはない。
 パーラ新議長当選が発表された数時間後、反マドゥーロ派議員は、新聞社「エル・ナシオナル」の社屋で議会を開き、そこでグアイド氏が引き続いて議長を継続すること、フアン・パブロ・グアニパ氏、カルロス・ベリズテイティア氏をそれぞれ第一、第二副議長にすることなどを決めた。
 現時点で、どちらが正式な国民議会の議長であるかは明らかになっていない。
 ベネズエラでは2015年の議会選で、反マドゥーロ派が議席の3分の2以上を占め、勝利を収めた。だが、マドゥーロ氏の前任者のチャベス氏が選んだ最高裁判事たちが議会の法律を阻む事態が続いた上、2017年には、マドゥーロ氏の親類や知人を多く含む形の制憲議会が発足しており、国民議会が骨抜き化されていた。
 19年1月、国民議会のグアイド議長は、18年の大統領選を無効として、自身が暫定大統領であると宣言した。ブラジルを含む全世界50カ国以上が現在も同氏を大統領と認めているが、パーラ氏が議長として承認されれば、それも怪しくなる。