《ブラジル》刑務所整備の使用額は予算の約1/3=劣悪な収容環境改善されず

 昨年は、ブラジル北部のアマゾナス州とパラー州で二つの大規模な刑務所暴動が発生し、合計112人の囚人が死亡したが、国立刑務所基金(Funpen)は35%しか使われていないと、7日付現地紙が報じた。
 Funpenは刑務所の改装や新築などに使われるべき予算で、昨年度は9億1250万レアルが計上されていた。地元紙が入手した、非政府団体(NGO)のコンタス・アベルタスのデータによると、昨年はこの内の3億2200万レアルしか使われていないという。
 多くの州の刑務所が過密収容や劣悪な収容環境、苛酷な職員の労働環境の問題を抱える中、それを改善させるための予算が効果的に執行されていない現実がある。Funpenの予算は、設備購入費や看守のトレーニング費にも使われる。
 「州がFunpenからの予算を受け取るには一定の条件を満たすことが必要」と政府は主張している。
 州政府がFunpenの予算を受け取るには、政府の求める全ての条件を満たすような、刑務所整備計画を立案、提出しなければならない。ボルソナロ政権初年は、全予算の71%に相当する整備計画が承認されたが、実際に払われたのは35%で、2016年以降で最低の数字となった。
 コンタス・アベルタスのジル・カステロ・ブランコ氏は、「Funpen予算はこれまでも効果的に執行されてこなかった」としている。2001~19年は計265億レアル(インフレ調整済み)が予算に計上されたが、実際に払い出されたのは半分以下だ。
 2015年には最高裁が、残っていた予算の全額支出と新たな凍結を禁ずる判決も出している。