「海外在住の日本人」に対するジャパン・レール・パス利用資格再考のお願い

 現在、JRグループによる「ジャパン・レール・パス」の利用資格に【日本国の旅券及び「在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」を有する者】が含まれています。しかし、この項目は2020年末で日本国外での販売期間が終了し、引き換え期間も翌年3月末となっています。
 海外在住のブラジル国移住者を代表して、本件の2021年以降の継続を嘆願いたします。
 同様のお願いをした先回(2016年12月)にもお伝えしましたが、日本人のブラジル移住は、1908年に始まり、現在、海外で最大といわれる190万人の日系人口を有するほどになりました。
 すでに、ご承知のように、この移住の歴史は現在の日本からは想像できないほど、辛苦を極めるものでした。これら先達の努力を経て、今では「Japonês garantido」(信頼できる日本人)といわれるほどの社会的地位を得るに至ると同時に親日的なブラジルの国民性を育んできました。
 これら日系人の社会的地位を築き上げてきた移民すなわち日本国籍保持者は現在、2万数千人と推定されます。
 日本の美しい自然と郷土芸能や伝統文化、日本をSLが主として走っていた時代に、日本を離れブラジルに渡った移民の中にはまだ、故郷に帰ったことがない方も多くいらっしゃいます。このように草の根レベルでの日本文化の浸透に貢献した移住者が訪日時にレールパスを購入することができず、その子弟だけが購入できるという制度の複雑さに戸惑い、この矛盾に納得できないのが率直な思いです。
 ブラジルには日本の47都道府県すべての県人会があり、各県の出身者(移民)、そしてその子弟が加入しています。この47都道府県人会を統合している組織が「ブラジル日本都道府県人会連合会」で、各県人会の親睦と交流を図ると共に国外では最大規模といわれる「Festival do Japão」(日本祭り)を開催し、ブラジル国民に日本の文化、科学技術、自然、郷土芸能、郷土食を紹介し、日本あるいは日本人に対する認識を深める活動に取り組んでいます。参加者は毎年増加し、第23回目を迎えた今年は19万人を超えるに至りました。
 このように私たちは今でも母国である日本を誇りに思い、その文化などの普及に努めています。これらの成果が親日国であるブラジルの基盤となり、日伯親善に大きく貢献し、訪日客の増加にもつながっていると確信しています。
 戦後移住は1970年代に終わり、家族構成員として幼少年期に渡伯した一世を含めて、ブラジル移民は高齢化の一途をたどっています。これらの方々のブラジルにおける日本文化普及に関する貢献、そして、母国である日本に対する強い憧れと熱い思いに配慮して、2021年以降もジャパン・レール・パスの利用資格に海外在住者が含まれるようお願い申し上げます。

2019年12月16日
ブラジル日本都道府県人会連合会
会長 山田康夫