《ブラジル》ミナス州の奇病の原因は地元のビール?=地元ビール会社に営業停止命令

異物混入が判明した製造ロット番号1354L2のベロリゾンチナ(13日付G1サイトの記事の一部)

異物混入が判明した製造ロット番号1354L2のベロリゾンチナ(13日付G1サイトの記事の一部)

 昨年12月以降、ブラジル南東部のミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市在住者と同市に滞在した人々の間で発生していた奇病が、地元のビール会社バッケル社(Backer)の製品に混入していた化学物質による可能性が強まり、農務省が製品回収や営業停止を命じたと13、14日付現地紙、サイトが報じた。
 今月7日夜、同州ジュイス・デ・フォーラ市の病院に入院していた男性が死亡した事で一気に注目されるようになった奇病は、13日までに17件の症例が報告されている。12月19日以降に発生した患者は当初、全員男性という点でも注目を浴びたが、その後、夫婦でビールを飲んで発症した例が報告されたため、女性患者が1人含まれている。
 患者は全員、吐き気や嘔吐、腹痛を訴えた後、急速に症状が悪化。短期間で腎不全や神経症状も起こしており、死亡した1人を除く16人は現在も入院加療中だ。
 市警によると、患者の自宅などから回収された同社のビール、ベロリゾンチナ(製造ロット番号1348L1と同L2)からは、毒性の強いジエチレングリコールが検出された。この物質は極少量で中毒症状を起こし、死に至り得る。患者4人の血液からもこの物質が検出されている。
 バッケル社は一貫し、同社が製造過程で使っているのはモノエチレングリコールで、ジエチレングリコールは使っていないと説明しているが、同社から回収されたベロオリゾンチナ中、製造ロット番号1354L2という製品からは二つの物質が検出された。
 また、市警は13日、ビールには直接触れないはずの冷却用水を保存するタンクの一つから二つの物質が検出されたと発表したが、混入の経緯は解明されていない。
 農務省はこれを受け、13日に、昨年10月以降に製造された同社製品(全銘柄)の回収と営業停止などを命じた。同社製品は21銘柄あり、国際的な品評会で表彰された品もある。スーパーなどは既に商品を回収し始めていたが、同社では、奇病患者発生に繋がった商品は限定されているとし、全銘柄回収命令に不服を申し立てる意向だ。
 農務省は10日に同社の工場を視察し、製造差し止めも命じており、従業員達は既に自宅待機の状態になっている。
 13日付エスタード紙などによると、同社幹部の1人は昨年12月19日に、解雇した従業員から脅迫されたとして被害届を出しており、警察が因果関係を調査中だ。