《ブラジル》「公的銀行の巨額国外投資に汚職なし」と報告=内部事情公開は大統領の公約=「調査はまだ不十分」との指摘も

グスタヴォ・モンテザーノBNDES総裁(Tania Rego/ Ag. Brasil)

 ブラジル社会経済開発銀行(BNDES)が昨年12月に作成した、「2005年から2018年にかけて、BNDESがJBS、Bertinグループ、Eldorado・ブラジル・セルロース社を通じてブラジル国外で行った8件の投資に関する報告書」が公表された。それによると、「10年以上にわたって行われた、4800万レアルを超える投資では、汚職は一切行われていなかった」と結論付けられていたと、21日付現地各紙が報じた。

 報告書には、「多くのビジネス的要因や、利益の見込みとリスクのバランスを慎重に判断した上で、投資の可否が判断された」、「当時の書類の精査や聞き取り調査の結果、プロジェクト実行各社(JBS、Bertinなど)を不当に利するために行われたことを示すものは見つからなかった」と書かれていた。

 BNDESの行った投資活動の詳細を明らかにすること、つまり「ブラックボックスの公開」は、ボルソナロ大統領がグスタヴォ・モンテザーノBNDES総裁に課した任務だった。モンテザーノ総裁は、昨年7月に前任のジョアキン・レヴィ氏の後を継ぐ形で総裁に就任していた。

 モンテザーノ総裁は、「もはや、BNDESのオペレーションにこれ以上『解明が必要な事項』は存在しない。我々は正確な情報を全て公開した」と昨年12月に語っている。

 2018年末までの前テメル政権期、過去のBNDESのオペレーションの洗い出しは、なかなか実現しなかった。ボルソナロ政権では元財務大臣のレヴィ氏がBNDES総裁に就任したが、同氏もBNDESが過去にどのような投資オペレーションを行ったかの詳細を上げられず、ボルソナロ大統領が不満に思っていた。

 BNDESのブラックボックス公開は、一昨年の大統領選挙の時からボルソナロ大統領がこだわってきた項目の一つだ。同大統領は当選直後にも、「BNDESのブラックボックスを開けさせ、国民が支払ってきた税金で過去数年間、何が行われてきたのかを明らかにする」と語った。

 ブラジル銀行協会連盟(Febraban)の元チーフエコノミスト、ロベルト・トロスター氏は、「BNDESはまだ、ブラジル国外での建設事業における契約内容を明らかにすべき」と語る。

 ブラジルの建設最大手、オデブレヒト社は、国外事業融資の名目で、BNDESから最も多額の融資を受けていたが、今回の監査では、同社が関わっている契約の内容は明らかにされていない。