《ブラジル》最高裁フクス副長官が保証判事制度を無期限停止 トフォリや議会の意向に反対 状況不備や予算面を考慮 モロの意向がかなう展開に

最高裁のフクス副長官(Agencia Brasil)

 22日、ルイス・フクス最高裁副長官は、犯罪防止法で採択された「保証判事制」の実行を無期減で差し止めた。この判断はセルジオ・モロ法相を喜ばせたが、同時にボルソナロ大統領、ジアス・トフォリ最高裁長官、連邦議会の判断を覆すものと見られ、注目が集まっている。23日付現地紙が報じている。

 犯罪防止法は23日から施行されるが、それに先立つ22日、フクス判事は、「捜査開始や逮捕の許可を判断する判事」と「捜査後の裁判を行う判事」を分ける保証判事制度の実施を無期限で差し止めた。

 保証判事制度の導入は、「裁判官を分けることで視点の偏りを避け、裁判をより公正に行うようにする」目的で進められてきた。だが、判事の人数が少ない地裁などでは、実際に導入できるかなどがかねてから疑問視されていた。15日には採用賛成派のジアス・トフォリ最高裁長官も、研究期間を兼ねる意味で、「保証判事制度の実施を半年間延期する」との命令を出していたが、フクス副長官はこの命令も無効にした形となった。

 最高裁は現在、休廷中で、フクス副長官は19日から、休暇に入ったトフォリ長官に代わり、急を要する案件を捌く役目を担っている。

 フクス副長官は、今回の無期限差し止めの理由として、「実行面の不安」と共に、「新制度移行に伴う予算的な問題」をあげている。

 この決定は、以前から同制度に強く反対していたモロ法相を喜ばせた。同法相はラヴァ・ジャット作戦を担当していたパラナ州連邦地裁判事時代に、捜査開始や逮捕の命令と捜査後の裁判を兼ねる立場にあったが、ヴァザ・ジャット報道などで、判断の偏りや検察への捜査指示などを指摘されることがあった。

 また、フクス判事は、LJ作戦を強く支持している判事として知られている。

 だが、今回のフクス判事の判断は、トフォリ長官のみならず、犯罪防止法を裁可したボルソナロ大統領、法案審議を行った議会の意向を無視したものと見られている。

 ロドリゴ・マイア下院議長は、今回のフクス判事の判断に対し、「不必要で、議会に対する礼儀を欠いた判断」と批判している。

 フクス判事は、「保証判事制度」以外にも、三つの点について、「最高裁の全体審理の結果を待つべき」との判断を下している。

 最初は、刑法157条を変更し、「証拠が不十分と気付いた判事は判決を出せない」ようにする項目。二つ目は、警察の捜査をお蔵入りにする際の手続き変更に関して。三つ目は、現行犯逮捕された容疑者が24時間以内に判事から留置前尋問を受けなかった場合、自動的に釈放されるという項目だ。