《ブラジル》コロナウイルス感染の疑いでミナス州の女子学生を検査中 発生地・武漢に旅行後発症 危険レベルは「2」に上昇 中国滞在のブラジル人たちにも動揺

28日の保健省の記者会見(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 中国で猛威をふるっているコロナウイルスに関連し、ブラジル保健省が28日、中国帰りのミナス州在住者(前回疑いが持たれた人とは別)に感染の疑いがあり、検査中と発表。感染危険度も「2」に引き上げるなど、予断を許さない状況となっている。28日付現地サイトなどが報じている。

 

 ルイス・エンリケ・マンデッタ保健相は28日、ミナス・ジェライス州在住の22歳の女子学生が、コロナウイルスに特徴的な症状を見せたため、現在、感染病の研究で高名な同州の医療施設で検査を受けていると発表した。

 この女性はコロナウイルスの発生源となっている武漢に旅行し、24日に帰国していた。

 この女性は、武漢に滞在中、病源となったと見られる動物などを扱っていた魚市場には行っていないし、感染者とも接触していないと主張しており、現在の健康状態も良好だという。

 だが、保健省は、彼女が帰国後に接触した人物14人に関しても検査・観察を続ける意向だ。

 コロナウイルスは27日現在、中国国内で4500人の感染者を出しており、すでに106人の死亡が確認されている。また、国外にも伝播しており、4大陸15カ国で感染が確認されている。

 ブラジル国内でのコロナウイルス感染者については、ミナス州、サンパウロ州その他で疑わしい人が出たが、保健省が疑いを否定。保健省は27日も、リオ州ニテロイで疑わしいとされていた人について、「異常なし」との判断を下していた。

 だが、28日は保健省の態度が一転。ブラジルでのコロナウイルス感染の危険度を3段階中の「1」から「2」に引き上げたほか、中国から帰国した別の観光客の所在地や体調などについて調査する意向を示すなど、より慎重な対策に乗り出していることがうかがわれる。

 だが、ブラジル外務省は当面、武漢をはじめとする中国でのコロナウイルス流行地域から、ブラジル人滞在者を撤退させることを考えていないという。

 現在の中国でのコロナウイルス感染は、内陸部にある武漢から北東部の北京にまで及んでいる。同国の感染地域に住むブラジル人らは、「怖くて外出もできず、出前ばかりとって暮している」「近隣のアジア諸国に出国した」などの例がメディアを通じて伝えられている。さらには、「帰国するか他の国に行きたいが、その内に空港が閉鎖され、国外に出られなくなるのではないか」と恐れている人たちもいるという。

 現在、自国民を感染地域から避難させたがっている国は、日本や韓国、フランスなど、少なくとも11カ国存在する。だが、こうした避難を、世界保健機関(WHO)は奨励していない。