米国移民問題=不法入国のブラジル人をメキシコ送りに=「言葉話せず立場弱い」とも

 【既報関連】米国トランプ政権は1月29日に、米国とメキシコの国境から米国に不法入国を試みたブラジル人は、入国審査を待つ間、メキシコに送り返されると発表した。

 既に、未成年者4人を含む少なくとも10人のブラジル人が、1月29日の夕方にはメキシコのシウダード・フアレス市に送られた。

 ビザを持たずに入国しようとする外国人を送り返すことはこれまでも行われてきたが、これまでは母国に直接送還されていた。

 米国は昨年、入国審査を待つ間の外国人の保護をメキシコに負わせるという移民保護協約をメキシコと結んだ。メキシコはアフリカ人、インド人、アジア人の受け入れを拒否。これまでは、グアテマラやエルサルバドル、ホンジュラスを中心とする中米諸国民だけを受け入れてきたが、今回から、ブラジル人もその対象に加えられた。

 米国のケン・クッチネッリ市民権・移民局副長官代理は、「メキシコの受け入れ対象にブラジル人も加わったことは喜ばしい」とした。

 ブラジル人はこれまで、米国入国を試みて捕まっても米国内の施設に置かれ、移民局出頭日時も米国領内で知らされていた。

 メキシコと国境を接する米国側の町エル・パソ在住で、移民問題に詳しい弁護士のテイラー・レヴィ氏は、メキシコ側の同僚からの情報を受け、「メキシコに送られたブラジル人は、スペイン語も話せず、ポルトガル語を話せる弁護士も見つけられないから、立場が弱い」とのツイートを流した。

 ブラジル外務省は、ブラジル人が米国に入国を試みて捕まった場合はメキシコ領内に送り返されることは正式に知らされていると、1月30日にコメントした。