《ブラジル》ワインガルテン氏 企業との関係の報告怠る SECOM局長就任の際 虚偽申告を行った疑惑も 公費を使った会合も多数

ワインガルテン氏(Agencia Brasil)

 自分が共同経営している会社が毎月の支払を受けているテレビ局や大手広告代理店が経営する企業に、政府からの仕事を回しているとの疑惑を持たれた大統領府社会通信局(SECOM)のファビオ・ワインガルテン局長が、昨年4月の就任時に、大統領府倫理委員会に対し、自分の会社とこれらの企業との関係についての報告を怠っていたことがわかったと、4日付フォーリャ紙が報じている。

 

 これは、フォーリャ紙が入手した、ワインガルテン氏自身が記入し、大統領府倫理委員会に提出した資料から発覚した。

 ワインガルテン氏が株式の95%を保有し、親族と共同経営している企業「FWコムニカソン」は、レコルデやバンデイランテスといった大手テレビ局やアルチプランをはじめとした大手広告代理店と契約を結び、メディアによる広告効果などの調査・研究を行っている。同社がこれらのメディア企業から毎月の支払いを受けていることや、これらの企業が一様に、同氏のSECOM局長就任後に恩恵を受けていることは、1月15日に報じられていた。

 今回フォーリャ紙が入手した資料では、大統領府倫理委員会による局長就任前の審査の際、ワインガルテン氏が、FWコムニカソンがテレビ局や広告代理店の仕事を請け負い、毎月の支払いを受けていたことなどを報告していなかったことが確認されている。

 連邦議会が2013年に承認した法令に基づくと、政府などの要職に指名された人物は、就任時に、自身もしくは3親等までの親族が経営している企業の情報や個人資産について、事前に申告することが義務付けられている。

 この資料によると、ワインガルテン氏は昨年4月12日の就任時、職務に関連した企業の経営や活動に関与していることを疑問視され、詳細な情報を提出するよう倫理委員会から求められた。だが、同氏が昨年5月14日付で署名、提出した書類(質問表)では、「就任直前の12カ月間に、SECOMの業務と利益が重なる企業の活動に参加したり報酬を受け取ったりしたことはなく、将来的にこのような企業から報酬を受け取るような契約を結んだこともない」という虚偽の申告まで行っていた。

 ワインガルテン氏は局長就任直前にFWコムニカソンの社長を辞任したが、現在も共同経営者(ソーシオ)として95%の株を保有し、口座も持っている。テレビ局や広告大手とFWコムニカソンとの間の契約は、少なくとも今年の1月までは続いていた。

 それに加え、同氏は局長就任後、これらの企業関係者と67回の会合を持っており、内20回は旅行する必要もあったこと、それらの経費はいずれも公費で賄われていたことも報じられている。

 さらに、FWコムニカソンの現社長のファビオ・リーベルマン氏、同氏の弟でSECOMナンバー2のサミー・リーベルマン氏の2人が、国税局から資産差し押さえ処分を受けていたことも報じられている。