コロナウイルス=ブラジル人救出機、武漢へ飛び立つ=既に34人が帰国を希望=検査隔離はゴイアス州で=関連法はスピード採決

5日正午過ぎに2機の空軍機が武漢へと飛び立った(Marcelo Camargo / Ag. Brasil)

 【既報関連】中国湖北省武漢を中心に世界に脅威を与えている新型コロナウイルスのせいで現地から出られなくなっているブラジル人を救出するため、空軍機2機が5日正午過ぎにブラジリアの空軍基地を飛び立ったと、5日付ブラジル各紙・サイトが報じた。

 各機には乗組員が11人ずつ、医療関係者が7人ずつ乗り組んでいる。医療関係者7人は、医師4人(軍医3人、保健省派遣医1人)、看護師2人、看護助手1人となっている。
 空軍機は、セアラー州フォルタレーザ、ラス・パルマス(スペイン)、ワルシャワ(ポーランド)、ウルムチを経由して武漢に飛ぶ。武漢到着はブラジリア時間6日夜の予定で、滞在時間を最小限に止めて、同じルートで引き返す。アナポリス到着は8日(土)の予定だ。4日まで報じられていた、イスラエル経由は行われない模様だ。
 5日の時点で、ブラジル人34人とその家族が空軍機に乗っての帰国を希望していることが確認された。帰国希望は帰国便離陸の24時間前までに表明すればよいため、増える可能性もある。
 新型コロナウイルスによる肺炎と思われる症状(せき、発熱、息切れ)などが出た患者は、帰国便には乗れない。
 「今のところ、帰国を希望する人々の中に、症状が出ている人はいない。ブラジルに到着した際には検査される」と、ダマスチェノ准将は言った。
 帰国希望者は全員、「帰国後の検査と、その後18日間の経過観察を受け入れる」という内容の誓約書に署名しなければならない。
 帰国便が到着すると、中国から救助された全ての人々と乗組員らはアナポリスの空軍基地に18日間隔離され、経過観察を受ける。ウイルスには潜伏期間があるため、感染していないと断言するために必要な時間が18日間だ。全員が個室に入れられ、面会を受ける権利は与えられない。
 隔離中に発症した患者は、ヘリコプターでブラジリアの軍病院に運ばれる。同病院も既に受け入れ準備を始めている。
 なお、4日に政府が下院に提出した、帰国者に検査を受けさせ、その後隔離して経過観察することの法的整合性を定めた法案は、その日の内に下院を通過。5日には上院審議にかけられた。上院でも同日中の採決、承認が濃厚だ。
 また、5日午後1時の時点で、ブラジル国内でコロナウイルス感染の疑いで検査を受けている人の数は11人だ。