《ブラジル》最高裁がカブラル元リオ州知事の報奨付供述を承認=彼の上の犯罪リーダーは誰か?=実刑判決280年超に減刑も=検察側は決定に強く反発

カブラル被告(Agencia Brasil)

 最高裁でラヴァ・ジャット作戦の報告官を務めるエジソン・ファキン判事が5日、現在までに282年の実刑を科せられている、セルジオ・カブラル元リオ州知事(民主運動・MDB)の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ。以下、デラソン)の内容を承認したと、7日付現地紙が報じている。

 2016年11月に逮捕され、服役中のカブラル被告は、既に13度の有罪判決を受け、実刑期間は累計で280年超に膨れ上がっている。その他にも、汚職関連で31件、その他の案件でも2件の起訴状が提出されている。
 カブラル被告はこれまでも、公判の場で自身の犯罪を自供したり、リオ州知事時代の犯罪に関与した人物の名をあげたりすることはあった。
 だが、デラソンという形で供述を行ったのは今回がはじめてだ。デラソンを行うと、捜査協力が認められ、減刑処分が行なわれるのが常だ。
 今回のデラソンは、19年11~12月に連邦警察との間でまとまったもので、今年初頭から最高裁への働きかけが行われたと見られている。カブラル氏は19年2月、リオ地裁での公判で、マルセロ・ブレッタス判事に対し、「権力と金への執着は中毒のようだった」と語り、初めて犯罪を認めたが、検察との間の司法取引はかなわなかった。
 今回承認されたデラソンに関しては、リオ州検察局が昨年から、「カブラル氏が犯罪のリーダー」であり「州財政に大損害を与えた張本人」として、「デラソンには応じるべきでない」と強く反対していた。証言した犯罪者の上により大物がいて、それを告発する証拠を含む内容でないと、デラソンは承認されない。
 今回、ファキン判事がデラソンを承認したことに関しても、検察側は納得していない。連邦検察庁は、「供述内容に他の供述者が何度も話したこと以上の新しい要素が加わっていない」として、デラソンを認めるだけの内容がないと疑問を呈している。アウグスト・アラス連邦検察庁長官は近日中に、最高裁に対して見直しを求める訴えを起こす予定だという。
 了承された供述内容はまだ公開が認められていないが、被供述者の中には高等裁判事や当局者、政治家なども含まれているため、ファキン判事が承認する必要があった。
 カブラル氏は連邦警察に対し、在任中に不正に受け取ったとされる3億8千万レアル分の公金の損害を補償すべく、返金を約束したとされているが、検察側は、カブラル氏の資産は既に大半が取り押さえられており、自分の裁量で動かせるものは極わずかだという。
 検察側は「新しい要素がない」と言うが、カブラル氏が所属するMDBは、ラヴァ・ジャット作戦で最も犯罪規模が大きかった政党でもあり、どんな内容か注目されるところだ。
 カブラル氏は先週行われたリオ地裁での公判でも、後継知事となったルイス・フェルナンド・ペゾン氏が、事業局長、副知事時代に汚職計画に関与していたと供述して話題を呼んでいた。