《ブラジル・ロンドニア州》“不適切書籍”の撤去を命令=検閲との批判に実行はされず

 ロンドニア州教育局は6日、州内公立校の図書館(室)から、「青少年には不適切な内容」として、43作品を撤去する命令を出した。7日付伯字各紙が報じた。
 州が「不適切につき撤去すべし」とした作品のリストには、カイオ・フェルナンド・アブレウ、カルロス・エイトール・コニー、エウクリデス・ダ・クーニャ、フェレイラ・グラー、ネルソン・ロドリゲス、ルベン・フォンセカ、マリオ・デ・アンドラーデなどのブラジル人作家たちの作品や、ドイツ人のフランツ・カフカの作品などが含まれていた。
 だがその後、各所からの検閲批判に遭い、州政府は命令を取り下げた。州政府は「そんな命令を出したと証明する文書はない」、「教育局長がサインしなかったので、命令書は実行されなかった」などと、批判をかわすための詭弁を続けた。
 ブラジル現地紙は、「43作品を州教育局内の教育関連書籍センターに提出すべし」との命令書は確かにあったとしている。この文書は教育局長スアミー・デ・アブレウ氏の名で出されたが、電子署名は、同局ナンバー3のイラニー・モライス氏のものだった。アブレウ局長やイライス氏はマスコミからの問い合わせに返答していない。
 ロンドニア州のコロネル・マルコス・ロッシャ知事(社会自由党・PSL)は、ポルト・ヴェーリョ市教育局長の経歴も持つ。
 現場の教師たちは上からの制裁の可能性があるため、報道陣に名前を明かすことを拒んだ。その教師たちによると、もう撤去寸前で、提出するために箱に入れられていた本もあったという。