年金審査に官民の差

 パウロ・ゲデス経済相が7日、「公務員は寄生虫で、母体の国を喰っている」ととれる発言を行い、各方面に波紋を投げかけた▼経済省はこの発言後、国民が払う税金が国民のために使われず、公的機関を維持するために使われていることや自動的な給与調整に言及したと釈明。だが、9日付フォーリャ紙によると、公務員が受ける恩恵は、自動的な給与調整や雇用の保障などの特典だけではない。年金審査でも官民の差が歴然と表れているのだ▼同紙によると、国立社会保障院(INSS)が行う年金受給資格の審査期間の平均は基準の45日間を大幅に上回る65日間で、125日かかる例もある。審査担当職員は3100人に対して1人だ。一方、連邦公務員の場合は各職場に年金担当者がおり、その割合は40人に1人。別の言い方をすれば、民間労働者7130万人に対するINSS職員は2万3千人なのに、連邦公務員61万人に対する年金担当職員は1万5200人もいる▼民間でも、従業員数1万人超の企業は最低30人の人事担当者(330人に1人)がいるが、その枠に入らない零細企業の労働者や自営業者、病気などで働けなくなって年金申請した人達の審査担当者はもっと少ない。INSSで年金申請後、45日過ぎても受給出来ない人は年末時点で1300万人、新たな申請は月90万件だ▼退役軍人投入案に「待った」がかかり、連邦政府はINSSの退職者などを動員しようとしているが、退職者が出ると知りつつ、新規採用を怠った責任は誰にあるのか? 国民の代表のはずの為政者や議員達が恩恵の届かない人の痛みを理解するのはいつの事かと嘆きたくもなってくる。(み)