《ブラジル》学術の世界にもある格差=言語・文学や介護関係は女性上位

 ブラジルの研究者達が参加する研究者グループに申告した各自の履歴や研究論文を基に、博士号を持つ研究者7万7895人について集計・分析した結果、専門分野にも性差や文化の差が影響する事が明らかになった。
 各研究グループに登録された情報を集めた「プラッタフォルマ・ラッテス」によると、五つの代表的な分野で研究を行っている博士号以上の学号を持つ研究者の内訳は、男性4万6501人(59・7%)、女性3万1394人(40・3%)となっている。
 五つの分野の中で最も研究者が多いのは保健・衛生に関わる分野で、36・73%にあたる2万8612人がこの分野で研究を行っている。この分野は女性の研究者が多く、56%にあたる1万6058人が女性だ。
 次に研究者が多いのは自然科学や地球科学の2万7820人で、こちらは男性が68・9%を占めている。
 3位は機械工学の1万4056人で、こちらも男性が74%を占める。4位は応用社会科学の6973人で、59・9%の研究者が男性だった。
 他方、5位の言語学、文学、芸術は女性の方が若干多い。研究者は434人で、女性が53・7%を占めている。
 ジャーナリストのヴィトリア・レジア・ダ・シウヴァ氏は高等教育機関の学生は46%が女性なのに、女子学生の中で黒人系は23%だけだし、大学院で教える教授の中で女性は僅か400人。その割合はたったの2・4%だと強調した。
 ブラジル科学促進協会(SBPC)のフェルナンダ・ソブラル氏によると、国家科学技術開発審議会(CNPq)のデータで見る限り、奨学金をもらう大学院生の数に性差はないが、キャリアが進むにつれて明確な差が出てくるという。
 今回のデータ解析にも参加した社会学者のナタリア・レオン氏は、「女性は子供の世話をしなければならないため、時間に余り縛られない分野を選びたがる」という。
 また、ソブラル、レオン両氏は、保健・衛生分野の研究者に女性が多いのは、介護などの分野に女性が多いという文化的な背景を反映しているという。ただし、レオン氏によると、文化的な背景は、介護的な要素が大きい小児科や看護などの分野には女性が多いが、介護的な要素が少ない外科医は男性が多いという格差も生むという。
 ソブラル氏は、女性の目を科学の世界に向けるには、幼少期から、数学や機械工学その他の分野にもなじめるような環境を作り、遊びの中で科学を楽しめるような工夫をする事が大切だという。
 また、子持ち女性や養子を育てている女性にもCNPqの奨学金を受けるチャンスを与える事の重要性も強調した。CNPqには、女性や少女にも自然科学や機械工学、情報科学といった分野での研究に参加を促すようなプロジェクトが80あるという。
 サンパウロ州立カンピーナス大学では、6年生から9年生の少女を対象とする講演会やワークショップ、博物館見学などを企画する、「超科学少女」プロジェクトも推進している。(12日付G1サイト、13日付エスタード紙より)