東京五輪でドリームチームが生まれるか

9日の五輪サッカー南米予選より(Lucas Fgueredo/CBF)

 実はブラジル内ではさほど大きなニュースにはなっていないが、むしろ日本のスポーツ・ファンの方が気にしているであろうから言うが、9日、男子サッカーのブラジル代表が南米予選通過を決めた。
 これが日本だと、「サッカーの五輪代表」などというと、サッカー・ファンなら本代表と同様に熱い視線を送るもの。今回は自国開催なのでその必要は無いが、他の国での五輪開催なら「アジア予選」などというと、どこかしらテレビ中継は「やっていて当たり前」だと思うだろう。
 ところがブラジルと来たら、リオ五輪に続く大会2連覇もかかっていた状態だったのに、今回の南米予選はテレビ中継はほとんどなし。五輪進出を決めた9日夜の対アルゼンチン戦はやっていたようだが、試合と同時間の世間の話題は、米国で行なわれていたアカデミー賞授賞式一色の状態。コラム子も授賞式を見ながら、ブラジル・サッカー連盟のツイッターで試合の途中経過を追っていた。
 この大会でブラジルは通算成績7戦5勝2分けで、強豪ひしめく南米10カ国中、たった2国しか出場できないという難関をかいくぐったが、集められた代表は、「これで本当に五輪出場狙うの?」と言いたくなるくらいのものだった。欧州強豪で活躍中、もしくはブラジル本代表に選ばれるクラスの23歳以下の選手は誰ひとりとして招集されなかったのだ。残ったのは、ブラジル国内で目立つ活躍をする若手か、もしくは欧州強豪でも控えに甘んじている選手のみだ、
 だが、そんな中でも、アントニー(サンパウロ)、ペドリーニョ(コリンチャンス)、マテウス・クーニャ(ヘルタ)、パウリーニョ(レヴァークーゼン)、ブルーノ・ギマリャンエス(リヨン)といった選手は、それでも他の国の代表からしてみればうらやましい戦力だった。彼らは十分、「ブラジル代表」としての貫禄を見せつけ、負けを一つも許さなかったのは立派のひとことだった。
 さて、これから問題は東京五輪の本番だ。代表には是非とも、16年リオにつぐ2連覇を狙ってほしい。ここは各欧州強豪クラブにお願いして、「ドリームチーム」で五輪を戦ってほしいものだ。今、もしブラジルが出場条件となっている「23歳以下」でメンバーを本気で組んだら、世界でも類を見ない夢のようなチームが出来上がる。
 まずフォワードを見てみると、セレソンでもレギュラー格のガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)、リシャルリソン(エバートン)、ダヴィド・ネレス(アヤックス)、レアル・マドリッドの神童コンビの共に19歳のヴィニシウス・ジュニオルにロドリゴ、アーセナルで頭角を現し話題の18歳マルティネッリ。この6人だけで3トップはレギュラーも控えも埋まる。
 ミッドフィールダーはセレソン・メンバーのルーカス・パケタ(ACミラン)に昨年圧倒的強さで南米一のフラメンゴのジェルソン、ジャン・ルーカス(リヨン)、ダグラス・ルイス(アストン・ヴィラ)がいる。
 ディフェンダーはセンターバックにセレソンのミリトン(レアル・マドリッド)、さらにガブリエル(リール)、ルイス・フェリペ(ラツィオ)。右サイドバックにはエメルソン(ベティス)、左サイドバックにレナン・ロディ(アトレティコ・マドリッド)。
 キーパーだけ、まだその若さで世界級の選手がいないが、そこに現在世界一のキーパー、アリソン(リバプール)をオーバーエイジ枠で入れようものなら、相手にとっては脅威のはずだ。
 今、名前を挙げたうちの何割が五輪に選ばれるか。見ものだ。(陽)