《ブラジル》汚職嫌疑で裁判中のルーラ元大統領がローマ教皇とヴァチカンで面会=国外渡航禁止措置なく

ローマ教皇(左)とルーラ元大統領(右)(Ricardo Stuckert)

 ローマ教皇フランシスコ1世は13日、ルーラ元大統領とヴァチカンで1時間程度の私的会談を持ったと、13、14日付ブラジル各紙が報じた。
 ルーラ元大統領は、サンパウロ州グアルジャーの高級住宅を巡る収賄や資金洗浄疑惑で2審有罪となり、18年4月から禁固刑になっていた。
 しかし、ブラジル最高裁が「2審有罪後に上告審が残っている(高等裁審、最高裁審が出ていない)状態での禁固刑の執行開始は違憲」との決定を出したため、昨年11月に1年7カ月ぶりに釈放されていた。
 ルーラ元大統領は12日からイタリアのローマを訪れており、教皇の住居で、非公式会見にも使われるサン・マルタ館(カーサ・サンタ・マルタ)で教皇と面会した。
 ルーラ元大統領は、ツイッターに2枚の写真を投稿し、「より公平な世界、より博愛に満ちた世界の実現のために教皇と面会した」と書き込み、「世界にはびこる格差や不平等を解消するため、未来ある若者たちとの意見交換の場を教皇が用意してくれたと聞き、とてもうれしく思った」とも語った。
 ルーラ元大統領はグアルジャー疑惑以外にもさらに七つの嫌疑がかけられている。その中の一つ、ゼロテス裁判の被告尋問が11日に予定されていたが、ローマに行くために、今月初めに延期を申請し、許可されていた。ルーラ元大統領には国外渡航禁止措置は取られていない。