僅差で栄冠は安永幸柄さんに=第5回本荘追分大会で=民謡界で若手が急成長

優勝旗が川合昭大会委員長より安永幸柄さんへ贈られた(右)

 今月1日、ブラジル本荘追分会(川合昭大会委員長)と若手民謡グループ「民」(バルボーザ・ビートル代表)共催で『第5回ブラジル本荘追分大会』がサンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区の秋田県人会会館で開かれた。約70人が自慢の喉を競い、日頃の練習の成果を披露した。激戦を制した安永幸柄さん(32、4世)が優勝を果たし、8月に秋田県で行われる『第37回本荘追分全国大会』にブラジル代表として出場する。

 大会審査委員長を務めた川合会長は、「優勝者の選出は非常に苦労した。ゼロコンマいくつの僅差。誰が優勝してもおかしくない」と評した。
 激戦のなか優勝者に選ばれた安永さん。ステージでは堂々と笑顔で歌い上げ、表彰式ではおどけてみせた。表彰式後に取材すると、「日本語はそんなにできないから恥ずかしい、優勝には自分もびっくりしています」と恥らいつつ謙遜し、舞台上の顔とは違う一面をみせた。
 大会は午前9時にはじまり、150人ほど収容できる会場には、民謡愛好者が入れ替わり立ち替わり訪れ、延べ200人ほどが来場した。
 審査は幼年、青壮年、高年、寿の部にわかれて行われ、審査により10人が決勝戦へと勝ち進んだ。うち7人は青壮年の部からの選出されており、若手の台頭が目立った。
 安永さんの歌唱について審査員の塩野彰さんは、「余裕を持って明るく楽しく歌っていた。楽しい歌なのでそこが表現できていた」と表現力の高さを評価した。
 安永さんを指導してきた海藤司さんも、「以前のブラジル代表の経験を経て自信がついたのか、今回は歌唱に自分を出せるようになった。以前は自分を出せず、少し尻ごみした感じだった」と弟子の成長具合に目を細めた。
 各部門の優勝者は以下の通り。【幼年の部】塚田まゆみ【寿の部】八木静代【高年の部A】佐藤吉治【高年の部B】海藤司【高年の部C】海藤晶子【青壮年の部A】粕谷エンヒッケ【青壮年の部B】【決勝審査】1位安永幸柄、2位木下光江、3位佐藤吉治。

賞を受けた皆さん

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 『第5回ブラジル本荘追分大会』で優勝した安永さんは、5年前に民謡教師の海藤司さんのソーラン節を見たことをきっかけに民謡を学び始めた。現在は若手民謡グループ「民」に所属し、仲間と練習やワークショップを行っている。そこから急速に芽を伸ばし、2017年に東京で行われた『平成29年度日本民謡民舞全国大会』、北海道の『第55回江差追分全国大会』にもブラジル代表として出場している。秋田に行くのは初めてだというが、3度目の「ブラジル代表」だけに堂々と披露してきてほしいもの。