在外邦人=JRパス利用を2年再延長=2023年まで利用可能に=「日系社会の思いが届いた」

JRパス(flicker)

 JRグループ6社の電車や新幹線などを利用して日本中を周遊できる切符「ジャパン・レール・パス(以下、JRパス)」は、海外在住日本国籍者への販売・利用期間が今年末までに限定されていた。ところが、ブラジル日系諸団体を始めとする海外在住者からの度重なる抗議を受け、JRグループは2月17日付けプレスリリースで「2023年12月31日まで従来通りの資格で利用できる」と延期を発表した。再び利用期間が延長された事に対し、日系社会でも喜びの声が上がっている。

 JRパス問題に尽力してきたブラジル日本都道府県人会連合会の山田康夫会長は、今回の発表を受けて「配偶者が二世の人も多く、ブラジルの一世には嬉しい知らせ。これでまたしばらく日本に行くことができる」と声を弾ませた。
 昨年から本紙でもJRパス問題を取り上げた他、日本の外務大臣政務官の尾身朝子衆議院議員、山東昭子参議院議長、鈴木馨祐外務副大臣など日本政府関係者が来伯する度に問題を訴えてきた。山田会長は「日系社会の思いが届いたに違いない」とし、日本政府への感謝を述べた。
 なお、2023年以降の販売については、「上記以降の販売につきましては、改めて、お知らせいたします」と同リリースに記載されている。
 JRパスは当初、16年11月11日に「17年4月から日本国籍所持者への販売を停止する」と発表されたが、在外邦人から抗議が殺到。サイト上で署名活動を行なう「JRパスを考える在外邦人の会」、ブラジル日系社会などから署名や嘆願書が送られた。
 それを受け、JRグループは「日本国の旅券及び『在留期間が10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等』を有する方」という利用資格に変更し、2020年末までに延長していた。
 今回の決定により、2023年まで再延長され、同じ資格で利用が可能となる。

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 JRパスの利用期限が過ぎると、家族やブラジル国籍の友人と一緒に訪日した場合、日本国籍者(一世)だけがパスを使えなくなり、一緒に行動するのが困難になる。「日本国籍だろうが、ブラジル国籍だろうが、外国に暮らしていることに変わりはなく、日本国籍者だけが差別されるのはオカシイ」とJRグループに対して批判の声が上がっていた。今回の延長判断により、しばらくは使えるが、大阪万博の時には利用期限が切れている。その時には、「なぜ日本国が日本国籍者だけを差別するのか。納得できる理由を説明してほしい」という声を再び出すべきだ。