《コロナウイルス》ブラジル国内の感染確認者151人に=サンパウロ州「数カ月で46万人感染も」=年金の一部を前倒しで支給

州としての対策を発表するジョアン・ドリア、サンパウロ州知事(右から2人目・GOVSP)

 【既報関連】サンパウロ州新型コロナウイルス感染症(COVID―19)対策委員会のコーディネーター、ダヴィ・ウイピ氏が12日、ブラジル国内では既に、コロナ蔓延国に旅行もしておらず、蔓延国から帰国した人と接触してもいないのに感染する例(transimissao sustentada)が出ており、サンパウロ州内では、今後数カ月で、少なくとも46万人の感染者が出る可能性があると発言した。14日付現地各紙が報じている。
 12日午後5時時点の保健省発表データによる国内感染者77人の内、42人はサンパウロ州在住者だ。
 現在のサンパウロ州人口は4600万人で、最も楽観的な予測の「人口の1%が感染」でも、46万人の感染者が出る。最も悲観的な「人口の10%が感染」だと、460万人が感染してしまう。
 ウイピ氏は、「重症患者を重点的にケアすることが必要。人口の1%、5%、10%が感染した場合の想定シナリオは、州保健局に渡してある。州人口4600万人の内、60%はSUSだけが頼り。総人口の何%が感染するかによって、準備すべきベッド数、人員数、投資額が違ってくる」と語った。
 また、サンパウロ州保健局は、コロナウイルス感染者用の集中治療室(UTI)を1千床増やし、呼吸器、医療用ゴム手袋、マスクを購入する予算を保健省に申請する予定であることも発表した。
 ウイピ氏は、「コロナ感染者の80%は軽症で、入院治療が必要なのは20%だ。SUSは優れたシステムだと思っている。だが、今現在、プロント・ソコーロ(救急外来)にいる人の80%は、UBS(保健所)で対処できるはず。咳と発熱を起こした人が全員プロント・ソコーロに押しかけたら、医療システムは破綻する」と語った。州保健局は、「50歳以上でCOVID―19に罹患する可能性の強い人は、メトロやバスも含む、人ごみを避けるように」との勧告も出す意向だ。
 また、国立社会保険院(INSS)は12日、コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、年金受給者の生存証明としての出頭義務を120日間猶予すること、年金、各種恩給の13カ月給の半分を4月に前倒し支給することを発表した。
 これらは、高齢者が大半を占める年金受給者がINSSに出頭して、新型コロナウイルスに感染する危険性を減らすことと、新型コロナウイルスの災禍による経済への影響を少しでも緩和させることが目的だ。
 なお、13日午後4時の保健省発表では、国内の感染者は、前日の公式発表77人から22人増え、連邦直轄区(DF)と12州で98人、擬似症で検査中は1485人、検査の結果、感染なしとされた人は1344人だった。なお、各州保健局の集計と病院が確認した感染者の総数は151人となっている。