東麒麟がキッコーマンに=株式譲渡で社名を変更=醤油の国内生産目指す

 AZUMA KIRIN社(正式名称:AZUMA KIRIN INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE BEBIDAS E ALIMENTOS LTDA.)は16日、親会社キリンホールディングス株式会社がその全株式をキッコーマン株式会社に譲渡したことを発表した。それに伴い4月1日から社名を「KIKKOMAN DO BRASIL INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE ALIMENTOS E BEBIDAS LTDA.」(以下、伯キッコーマン社と略)に改める。17日、AZUMA KIRIN社の尾崎英之代表取締役社長とキッコーマン・ブラジル有限会社の秋元壮介代表が来社して、株式譲渡の経緯と今後の展望について語った。

キッコーマンがブラジルで展開中の和食ソース製品

 今回の株式譲渡は、ヘルスサイエンス分野などの中核事業に経営資源を集中投資したいキリン本社側と、アジアや欧米に続いて南米での事業拡大を望むキッコーマン側の思惑が一致した為に実現した。

秋元壮介キッコーマン・ブラジル有限会社代表

 約30年前に当地進出したキッコーマン・ブラジル社は現在、看板商品である醤油を北米やアジアの海外工場から輸入して販売し、2018年から販売を始めた和食ソース調味料の製造は外部業者に委託している。
 「日本以外では最古の日本酒製造会社の一つ」という伝統を持つAZUMA KIRIN社の販売ルートに、キッコーマン製品を流通させることで認知度と売り上げを向上させ、将来的には自社製品の国内生産を目指す方針だ。

 秋元代表は「キッコーマンの目標は、和食の総合コーディネート。AZUMA KIRIN社の経験や優れたノウハウを取り入れ、より良い和食を提案していきたい」と意気込む。

尾崎英之AZUMA KIRIN社代表取締役社長

社名変更後も代表取締役社長は尾崎氏が務め、清酒『東麒麟』、日本米『弥勒米』、各種日本食調味料の生産販売はそのまま継続する。伯キッコーマン社は従来の法人登録台帳番号(CNPJ)を継承するため、キッコーマン・ブラジル社とは別会社のまま。
 尾崎社長は「AZUMA KIRIN社は、1934年より在伯邦人の心身の健康を掲げて日系社会と共に歩み続けてきた。これからはそこに創業300年の歴史を持つキッコーマンの魅力が合さり、新たな総合食品・酒類メーカーとして生まれ変わっていく。今後はキッコーマングループの新体制のもとで、皆さんの期待に応えていきたい」と語った。